ある信金幹部の告白

先週、宮崎県で信用金庫の合併が発表されました。

現在、静岡県では3つの合併案件のうち2つが数ヶ月後をにらんで、合併作業中です。

数日前に、某地区の信用金庫X の役員から聞いた話は、至極ごもっともだと思いましたので、改めて紹介したいと思います。

〜 信用金庫業界はシステムが同一 (一部、自営のところもあるが) であるなど、バックヤードの共通化が進んでいるので、“勘定を合わせる”ことの難易度は高くない。だから、融資ポリシーなどのビジネスモデルや、極端な話、経営戦略がバラバラであっても、合併という表面的な形を整えることは難しくない。

〜 地域銀行もそうだと思うが、合併後の新金庫が地域のお客さまにとって、よりお役に立ち、そして従業員にとって、より働きがいのある組織とならねば、まったく意味がない。

〜 新金庫の経営戦略やビジネスモデルは合併後に考えるとの、もっともらしい意見もあるが、単体の時にできないビジネスモデルの大転換が、合併という組織文化の融合という大作業と混乱の中で、同時並行的に行えるとは思わない。大事な課題 (ビジネスモデルの転換) を先送りすることになりかねない。

〜 合併後がすべての始まりであり、真価が問われるのは合併後だ。合併が目的化し、合併作業で燃え尽きてしまうような本末転倒な展開になるのなら、合併自体はやるべきではない。
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現在合併作業が進行している信用金庫の経営陣のご意見を聞いてみたいところです。


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コメント

  1. 橋本卓典 より:

    ビジネスモデルを決めてから現実を最適化するのではありません。ポスト再配分や統廃合店舗の綱引き、システム主導権など見栄や保身やエゴの局所戦が果てしなく繰り広げられ、その局所戦の戦果からかろうじて導き出せる辻褄合わせを「ビジネスモデル」と呼んでいるに過ぎません。つまりストーリーも戦略もありません。自らの出身母体さえも躊躇無く切り崩せる創造的破壊者が統合会社のトップに座ることは、まずないと思います。見たことがありません。

  2. 寺岡雅顕 より:

    「合併」による地域と経営に与える影響を調査研究している地域金融機関に出会いました。

     近隣で、「都市型信金」と「地方に基盤を置く信金」の合併が実現したようですが、その後、さまざまな問題が出ていると聞きました。(ここでは触れませんが・・・)

     お話を伺った同金庫の上級管理職は、よりサービスを充実させるため、それぞれの特徴と強みを生かした合併の必要性を感じていらっしゃるようです。合併が反って地域を疲弊させることのないように(金融排除をおこさないように)、合併後双方の職員が誇りをもって働けるようように、様々な合併のケースを、多面的に研究するための上京のようでした。

     繁栄をもたらしてくれた地場産業が政策的に消え去ったのち、必死に地域を支えてきた信用金庫です。理事長の強力なリーダーシップのもと、外部から人材を招き「再生・承継・創業」に取り組んでいらっしゃいます。

     一昨日と昨日で地政学的に現場をみて見たいとのご要望で、合併が進められている某地域をご案内してきました。

     「ビジネスモデルは合併後時間をかけて作ればよい」と考えていそうな経営者もいれば、正式に合併の検討を申し入れる以前に、さまざまな角度から検討をする必要性を認識している経営者もいる。あまりの違いに驚くと同時に、一方のお取引先と従業員には申し訳ありませんが、うれしく感じたのも事実です。