ESG金融 ハイレベル パネル

本日は環境省が主催する「ESG金融ハイレベル・パネル」に出席しました。

本パネルは昨年1月から7月にかけて行われた「ESG金融懇談会」(委員として参画しました) の提言を踏まえたもので、各業界の代表の方が集まり、活発な議論が行われました。

https://www.env.go.jp/press/106432.html

環境省のHPにアップされている通り、直接金融と間接金融に分けて、プレゼンテーションならびに意見交換が行われたのですが、論点が絞りやすい前者と比べると、後者はまだまだ深掘りの余地があるように思いました。

間接金融の分野では、地域金融機関の取り組み姿勢が問われるのですが、地域金融機関の業界からの説明には物足りなさがあったことは否めません。

間接金融に関し、ワタシが述べた意見の骨子は下記の通りです。

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SDGs は地域金融機関、とくに信用金庫や信用組合のような協同組織金融機関の経営理念そのものである。

地域金融機関は経営理念から逸脱することなく、銀行法第1条にある「国民経済の発展に資する」に則って、地域経済、地域社会の持続的発展に努めねばならない。このことは金融庁の求める「顧客本位の持続可能なビジネスモデル」と合致する。

このパートは、SDGs の間接金融に関するものであるが、地域金融機関の中には、ESGやSDGs の冠を被せた融資商品を作り、それをプロダクトアウト的に売れば良いといった矮小な考えがあることは否定できない。

ESG / SDGsの金融商品を作って売れと指示を出した地域金融機関の経営者もいるという。これは間違いだ。

金融商品ありきではなく、地域金融機関が地域企業や地域社会の発展のために、「『誰一人取り残さない』持続可能で多様性と包摂性のある社会実現のため」というSDGs の思想を持って活動したことで、“結果として金融取引につながる”という流れでなければならない。

実際、「結果として金融取引につながる」との思想を持って活動している金融機関は顧客からの絶大な支持を得て、収益面でも着実に成果が出ている。京都信用金庫しかり、第一勧業信用組合しかり。

繰り返すが、SDGs は協同組織金融機関の経営理念、行動原理と合致する。信用金庫、信用組合、さらには組合金融の全国組織である商工中金の取組みに期待したい。

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コメント

  1. 増田寿幸 より:

     京都信用金庫が多胡さんのご期待に沿うことができているかどうかは少し疑問で心苦しいのですが、私は、SDGSについての間接金融界の取り組みに不満があります。

     SDGSには17のゴールと169のターゲットがあります。前者はお題目で後者が具体的な課題です。したがって、間接金融であろうと何であろうと、169のターゲットで取り組みの状況を判断することになります。その169のうちに間接金融サービスに言及されたものは、基本的に「すべての人への金融アクセスの確保、提供」ということに尽きます。つまり「金融包摂」だと思います。

     この点で多胡さんが直感される「協同組織の理念に合致する」は正しいのです。しかるに、世の金融機関のSDGS宣言とやらは、自らの「金融包摂への取り組み」はまったく顧みないで、言葉遊びで流行に乗るかのように「いいことをしましょう」と唱えているだけのように見えます。

     つまり、SDGSを自己宣伝に利用するに過ぎない金融機関関係者には、「もう一度169のターゲット文を読みなさい」と言いたくなります。