いよいよ金融検査マニュアルに終止符が打たれるデッドラインが近づいてきました。
この2年あまりの動きを整理してみましょう。
長文になりますが、お付き合いください。
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まず、ポスト検査マニュアルを展望した最初の議論は、金融庁主催の“金融モニタリング有識者会議” (ワタシもメンバーとして参加しました) において行われました。(2016年8月〜2017年2月)
その有識者会議の報告書が、
「検査・監督改革の方向と課題」(2017年 3 月)
https://www.fsa.go.jp/news/28/singi/20170317-1/01.pdf
です。
それを受けて、金融庁がポスト検査マニュアル時代における、“検査・監督全般に共通する基本的な考え方と進め方”を整理したものが、
「金融検査・監督の考え方と進め方(検査・監督基本方針)」(2018年6月)
になります。
https://www.fsa.go.jp/news/30/wp/
supervisory_approaches_revised.pdf
この基本方針を土台として、個々のテーマ・分野ごとのより具体的な考え方と進め方を、 ディスカッション・ペーパーの形で示すこととなりましたが、
その中の一つ “健全性についての基本的考え方” に関するディスカッションペーパーは、2018年6月に
「健全性政策基本方針」
として発表され、パブリックコメントを踏まえた最終案を待っている状況です。
健全性政策基本方針は、金融システムの安定を目標とする検査監督のいわば根幹となるものであり、それを分かりやすく示した一枚の図は、地域金融機関の役職員として手元に置いておきたいところです。
https://www.fsa.go.jp/news/30/dp/
prudence_abstract.pdf
この図の通り、健全性は将来を展望したものであり、そのためのビジネスモデルの構築がポイントとなります。
顧客本位の持続可能な、顧客と共通価値の創造ができるビジネスモデルでなければ、将来の健全性は覚束なくなるでしょう。
この図でワタシが注目しているのは「資産の質」のところです。
「借り手の実態を把握し、将来損失を的確に見積もっているか」と記載されていますが、このことを確実に実行できるかどうかは、ヒト次第です。
無形資産であるヒューマンアセットの質が非常に重要となり、ポスト検査マニュアル時代の検査監督においては、貸付債権や運用有価証券だけではなく、ヒューマンアセットを対象とすることは不可欠です。
2月26日に金融庁で開催された第17回「金融仲介の改善に向けた検討会議」において、ワタシはこのことを問題提起しました。
早期退職の嵐と新卒閑古鳥に、ダンマリを決め込んでいる地域金融機関の経営者の覚醒に期待したいところです。