包括業務提携、なぜ広がらないのか?

千葉銀行と武蔵野銀行の包括業務提携が25日で3周年を迎えます。

発表時には、統合合併に比べると世間的には注目度が低かったのですが、ワタシはこれこそが“健全銀行同士の連携の進むべき道”と、応援メッセージを発信しました。

~「『資本統合』をしない業務提携は、地域金融機関の本分である地元顧客のことを考えればベストな選択」。地銀経営に詳しく、金融庁の有識者会議にも加わる多胡秀人氏も評価する1人だ。発表直後まとめたリポートでは「経営統合や合併をうたっている地銀グループが掲げている施策は、業務提携と共同化ですべてできる」と断じた。(日経ヴェリタス、2016年4月3日)

異文化が衝突し、ポストの争奪戦で消耗が大きく、ために発生する費用もバカにならず、機会ロスも大きい統合合併に比べると、包括業務提携であればお互いが協力し合う体制をスピーディーに作り上げることができるのです。

連携による増収とコスト削減で当初「5年で100億円」と見込んだ効果はすでに実現のめどが立っているというのもむべなるかなです。

こういう踏み込んだ“相対ベース”での包括業務提携 (業務提携も数が増えると船頭多くして船が動かなくなり、相対がベスト) は全国的に広がると思いきや、他にこのような事例は見当たりません。

なぜでしょうか?

18日の日経電子版「検証 千葉銀・武蔵野銀 提携3年」の中に意味不明な記述を発見しました。

~厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所がまとめた5年ごとの推計によると千葉県では20年、埼玉県でも25年には人口減少局面に入る。ある外資系証券の銀行アナリストは『人口減が始まれば、再編の波にさらされているほかの地銀と同じ環境に置かれることになる』と指摘する。(同記事)

何だこれは???

「千葉や埼玉のように人口減少で苦しんでいない地域だからこそ、包括業務提携が成り立つ。しかし人口減が始まると再編 (統合合併) が始まる」

という“奇妙キテレツな論法”が奉じられている限り、相対ベースの包括業務提携が広がることはないのかもしれません。

イヤハヤ


シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする