昨日公表された東京証券取引所の再編の考え方を見て、これが地域銀行の上場の意味を改めて見直す良い機会になると思いました。
東証1部上場2100社のうち700社は時価総額が250億円以下なのですが、その中には時価総額が50億円に満たない地域銀行もあります。
この地域銀行を例にとってみると当期利益は数億円にしか過ぎず、上場していることで必要とされる配当などのコストは当期利益の半分ぐらいに達するのではないかという意見もあります。
昨年末より、金融庁の幹部が「経営環境に見合わない配当に対しては、厳しく注意喚起をする」との発言を繰り返していますが、
そもそも協同組織金融機関のような規模で、地域密着型金融を担う地域銀行が上場する意味は何でしょうか。
上場銀行の方がリクルートで良い人材が集まる、営業面で有利などという理由を聞いたことがありますが、実際に新卒市場の状況や取引先事業者数やメイン先を比較してみると規模の小さい上場地域銀行が同一地域の信用金庫の後塵を拝するという事例には事欠きません。
上場している方が透明度が高い、この意見もワタシには???
ワタシには“見栄”以外に理由が見つかりません。
追い込まれてタケノコ生活に陥っても、すくんで何もアクションを起こさない。
上場廃止のマイナスイメージが嫌なのかもしれませんが、存亡がかかっている時に、“何をか言わんや”です。
今回の東証の変革は、こういう地域銀行の背中を押すことになるでしょうが、「何かに押されないと動かない」、こんなものは経営ではありません。
コメント
腰を据えて戦略を完遂する為に「自ら」上場廃止への道を進むことも選択肢の一つだと思います。
例えば、戦略として要注意先や破綻懸念先に対し積極支援(未だにこの領域はブルーオーシャンです)を実行する場合、引当金の積増しは避けられず短期的には赤字や収益悪化に伴う株価下落リスクが懸念されます。
上場維持する前提であれば株主にしっかりと説明し納得いただくことが必要でしょうが、配当金や売買目的の株主は納得しないでしょう。
また「上場している方が透明度が高い」デメリットとして、その戦略自体もガラス張りとなり競合者の目に晒されることが挙げられます。
であればいっその事、MBOでも行い「自ら」上場廃止する選択肢も個人的にはアリだと思うのですが、これは余程の覚悟が必要ですね。