指名報酬会議で思うこと

10数年、地域金融機関の社外監査役、社外取締役、指名報酬会議委員を務めていますが、一番難易度が高いのが指名報酬、とくにトップや役員を指名する仕事です。

トップや役員を、(限られた接点しかない) 社外 / 非常勤の人間が独自で選ぶことはそもそも無理があり、リスクが大きいと言わざるを得ません。

であるにもかかわらず、あえて指名の仕事に挑戦しようと思ったのは、トップや役員の選定のプロセスや条件がブラックボックスのままであるのは良くないと考えたからです。

頭取や会長の頭の中にあるであろう選定プロセスを「見える化」し、選定条件 (人格、リーダーシップ、チャレンジの姿勢など) を社外の指名委員も交えて議論し、そのすべてを公式記録に残すことは必要不可欠です。

個別人名を選ぶことは不可能であっても、執行トップ (頭取や会長) が提示してくる個別名が選定基準や条件に合致しているかどうかを、360度評価などを交え、確認するのが社外の指名委員の任務だと、ワタシは考えて実行しています。

地域金融機関における指名制度は緒に就いたばかりですが、ブラックボックスから一歩踏み出すことが大事だと思います。ちなみに地域銀行の指名報酬会議/委員会の議長を社外の人間が務めているケースはほとんどありません。

試行錯誤を重ねて、より良いものを作り上げていきたいと思っています。

 


シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. 増田寿幸 より:

    トップ選定プロセスの改革は金融変革における真の課題のひとつであることは間違いありません。また、現行の既存トップによる天の声方式はプロセスが不明瞭で、指名委員会方式によるプロセス開示がベターのような気もします。ただし、指名委員会への情報集約は相当なコストと時間がかかり、現実には難しい気がします。端的に言って、本質的なことが見えていない「社外役員」があまりにも多いのも現実ではないでしょうか。社内と社外の情報格差が大きいのです。さらに、問題は、トップ候補が社内に限られる点がより本質的に問題だと思います。つまり、ことの本質は、わが国の終身雇用という労働慣行にあるのだと思いますが、そうなると、私はつい思考停止に陥ってしまいます。情けないですが。