法律音痴の生兵法だが、

地域金融機関の中には、業況の悪くなった地元企業に対し、経営改善や事業再生の支援を行うよりも債権回収を優先するところが少なくありません。こういう金融機関の人たちと話をすると憤りを感じます。

彼らは自らの行動の正当性を「預金者保護」という錦の御旗を押し出して主張するのですが、ワタシは銀行法第1条を示し、反駁しています。

《銀行の業務の公共性にかんがみ、信用を維持し、預金者等の保護を確保するとともに金融の円滑を図るため、銀行の業務の健全かつ適切な運営を期し、もつて国民経済の健全な発展に資することを目的とする。》(銀行法第1条)

確かに預金者等の保護を確保することは記載されていますが、預金者保護は銀行法の目的ではありません。

銀行が立脚する法律の目的はあくまでも「国民経済の健全な発展に資すること」なのです。

地域金融機関の場合には「地域経済の健全な発展」と置き換えて良いと思います。

地域経済の健全な発展のためには「金融包摂」が必須であり、とくに雇用や商流の視点から地域にとって “なくてはならない中小企業” の場合、厳しい業況であっても徹底的に支えるのが地域金融機関の使命ではないでしょうか。

ところで、数年前に金融庁の幹部に対し、問いかけたことがあります。

「地元企業の経営改善や事業再生に背を向けて債権回収にうつつを抜かすなど、金融排除が目に余るレイジーバンクは、銀行法第1条に抵触するのではないか。業務改善命令は出ませんかね。」

さすがに無理筋だったようです、苦笑。

法律音痴のワタシには生兵法だったようですが、預金者保護を盾に地元企業の経営改善/事業再生の支援をサボる地域金融機関は、いずれ地域顧客から捨てられることになるでしょう。

 


シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. 山猿 より:

    結局その地域全体としてのセーフティネットをどこかが担い、最終的に金融包摂する機能があればいいのですが。その地域の保〇〇会などはどうだったのでしょうか(聞くと腹が立ってくるので止めましょうw)。

    とある地域では、新たな血を入れて生まれ変わる(はずの)第二地銀、厳しい先にも融資に積極的な共同組織金融機関、加えて新たに生まれ変わろうと努力する政府系(の支店)と、ピース自体はそろいつつある、という状況が生まれてきています。

    でもあくまでもピースです。これを絵にしていくために必要な事は何なのか、と・・・。

    この地域は今が剣が峰の状態なのかも知れません。

  2. 新田信行 より:

    多胡さんのおっしゃる通り、地域金融機関の存在目的の基本は、地域の繁栄だと考えます。従って、地域が衰退しているとしたら、地域金融機関がその目的に果たしていないということになります。その目的を達成するためにはどうしたら良いのか?それを考えることから、戦略戦術が生まれるのです。