陳腐化しない投資を

経営環境の大きな変化からビジネスモデルの根本的な見直しを迫られている地域金融機関。

当局からも地域の未来を考えた持続可能なビジネスモデルで地域顧客との共通価値の創造をと言われているものの、失礼ながら、どうして良いか分からないと悩んでいる金融機関も多いのではないでしょうか。

とりわけトランザクションバンキングは近未来にデジタライゼーションを駆使した異業種やネット系に席巻されることは間違いなく、急速なフィンテックの展開に対応するための投資は地域金融機関にとって難しい問題です。

どの範囲まで投資を行うか、どこをパートナーにするか、日進月歩の中で陳腐化リスクとどう折り合いをつけるかなど、決断のタイミングに頭を痛める経営者は多いものと思われます。

一方、リレーションシップバンキングの場合には労働集約型であり、真のリレバン(なんちゃってリレバンではない) であれば、参入障壁があることは間違いありません。

リレバンにおける投資対象はヒューマンアセットです。人材教育のために要する費用は“投資”です。

ヒューマンアセットへの投資は、フィンテック関連投資につきものの陳腐化リスクはありません。

ヒューマンアセットの価値が上がれば、顧客とのリレーションシップという価値が上がります。リレーションシップ・キャピタル (第一勧業信用組合の新田理事長の言葉) に厚みが増すこととなります。

地域金融機関が、いま行うべき投資の対象はヒトです。

リレバンを遂行すると大見得切っていながら、目先の収益が苦しいからといって、人件費を削ったり、人材教育のためのコストを抑制するのはもってのほかです。

短期的収益に追われて、もっとも重要な投資を怠る金融機関に未来はありません。

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