11月29日の日本経済新聞の「コンビニATMの利用件数減」(セブン銀利用、初の前年度割れへ) に関わる記事に出てくる地方銀行の対応は、ワタシには貧すれば鈍すの典型としか思えません。
記事の趣旨は、
~地銀のコンビニATMに関わる支払い手数料が無視できないぐらい増大 (ある地銀では純利益の1割に近づくレベル) したため、当該手数料を引き上げて自行ATMへの誘導を図ろうとしている、
というものですが、〇〇ペイが急速に普及し、キャッシュレス経済への流れが加速する中で、コンビニATMの手数料値上げで利用者が自行ATMに戻るというのは幻想に過ぎません。
キャッシュレス経済の流れの中で店舗統廃合とともに自行ATM戦略の見直しも検討されていると思われますが、まずは幻想を捨て去り、預金や預かり資産、住宅ローンや貸金庫などの利用者、つまりヘビーユーザーにはコンビニATMの手数料を優遇するような差別化戦略を進めることが先ではないでしょうか。
もしそのようにやっているのならば、余計なお節介でした、苦笑。
コメント
笑えますね。「おのれ事最優先」を丸出しにすると、顧客が離れていきます。そんな銀行のお世話になるはずがありません。
実は「ATMを飛び越えて、一気にキャッシュレス化を推進しよう」という深いはかりごとがあるのなら、おみそれ致しますが・・・
ATMなど、差別化が難しい分野については徹底したコスト削減とバックヤードの共通化が必要で、こういった点については信用金庫や信用組合のほうが進んでいると感じます。
ただでさえリレバンは労働集約型で高コストです。限られたリソースを何に集中するのか、経営陣の腕の見せ所ですね。
自行、自社の顧客チャネルAのフィーに比べて顧客チャネルBのフィーを相対的に低くして
Bに誘導する企みは、競争環境を狭く捉えた天動説に他なりません。
顧客は必ずしも現金だけに拘らないので、預金からチャージした(チャネルC)何とかペイ払いやICカード払いの手段も有していますし、さらには銀行口座すら通過するポイント利用決済(他社チャネルX)も活用します。
フィーの額だけでなく、汎用性(多くの店で使える)、使い勝手(レジの前ですぐにアプリが立ち上がるか)なども踏まえて適宜手段選択しますので、天動説的な企みは、そんなこと意に介さない顧客に簡単にスルーされてしまいます。
ふと思い出したのが、かつての振込手数料の文書扱いと電信扱いの併存でした。はるかいにしえ、テレックスの容量も通信料も高額だった時代はともかく、人手を介して手間のかかる文書扱いよりも、利用者が自分で操作するATMの電信扱いのほうがフィーが高いのは不思議で、顧客本位ではないと感じていました。
技術革新により競争環境は容易に変化します。
狭い、手近なライバルとの競争だけ見ていると、フィーの獲得どころか置き去りにされてしまいます。
自行、自社の強みをとことん磨いて、常連(ヘビーユーザー)を真に掴むことに注力することが本筋ではないでしょうか?