地域金融機関の現場の融資能力がガタ落ちになっているとの声が大きくなっています。
経営サイドからは「ミドルリスク層に取り組む」と進軍ラッパが聞こえてきますが、最前線は戦える状態にありません。信用リスクを取ることのイロハから再構築しなければならない状況に陥っています。
例えばですが、
以下の点を明確にし、現場に浸透させない限り、ミドルリスク層以下への取り組みは、リスクが高く、収益につながるとは思えません。
~ミドルリスク層というが、どういう先を対象にすべきかを明示する (→ 経営者が誠実でやる気がある、業況は厳しくとも事業の中に光るものがある、雇用や商流の視点も)、
~正常運転資金の切り出し方を教える (→ バランスシート上の数値の足し引きだけではなく、顧客との対話、現場実査、在庫や棚卸し資産の確認をする、季節性資金の動きを確認する等)、
~切り出した正常運転資金を軸に動態モニタリングを実施する中で出てくる顧客の諸々の課題に応えることを手取り足取り教える、
こんなこと“できて当たり前”じゃないかと古株たちは言いますが、どうも現場はそうではないようです。
現実を直視しよう‼️
コメント
【ぼやきです】
◆ 短期継続融資を切り札に、「公表決算書の数字をシステムのなかに放り込み、機械的に算出された経常(正常)運転資金を、『企業には返済が楽になる。金融機関には(顧客の)キャッシュフローが楽になった分、金利を頂けば良い。その時のセールストークは当社と契約すればセットで教える』」といった売込みをする著名コンサルもあるようです。「これなら、だれでも顧客企業に行って経営者と話できるでしょ」てなもんかもしれません。
契約を取りたいコンサルと、持続的継続的な人材育成に取り組むことなく手っ取り早く利益を得たいレイジーな金融機関の利害が一致しており、困ったものです。
◆事業性評価(理解)についても困った風潮があります。
「事業性評価(理解)は数字ではない。定性面だ」という主張です。事実、世間の事業性評価に関わる書物や通信講座等を見ても、数字の把握面が著しく疎かになっていると感じています。窮境好況に関わらず、現状の収益力と財務体力を正しく把握し、現状に至った理由を掴むことが金融機関の支援業務の原点にあるはずです。
窮境状況に追い込まれた原因(理由)を掴み「それを排除できるか?」好況であるなら「その理由は今後にも当てはまるのか?」を検討するには、公表決算書から隠された財務実態と収益力実態の把握をすることが前提にあると考えています。
残念ながら、多胡先生ご指摘の通り、多くの金融機関ではこの点が非常に弱いと感じています。
財務実態・収益力実態把握力の再獲得がミドルリスク層への取組の必要条件です。さもなくは、単なる蛮勇・猪武者となんら変わるところはありません。また、システム的に取り組める世界でもありません。
銀行研修社が30年6月に企画した寺岡先生の緊急セミナーの案内レジュメは、金融機関が取り組むべき融資戦略・戦術を、あれ程明解端的に示されたものはありません。
金融機関経営者はこの戦略をもとに「ヒト・モノ・カネ」をどのように振り分けるかだけです。まずは人材育成でしょう。決算書のシステム入力が一般化して決算書が経活動の体現として理解する人材がどんどん減っているように思います。係数分析が得意なのはいますが。
こうした現状踏まえると、本部に専担部署を置き、要注・要管先の事業性評価を行い、仮説を立て(仮説を立てられる人材が本当に必要)、顧客としっかり向き合い、融資等の支援策に取り組む必要があると思います。営業店にその取り組みを見せることが重要と思います。
今の事業性評価は、法人の基礎となる決算財務の分析が弱い。顧客の良い点挙げることはいいのですが、課題・問題点わかっていないと本当の支援はできません。
またこの推進においてトップは、融資やランクアップ件数といった実績だけを目標にしてはいけない。当局も十分留意するべきです。
実績優先となると、数字請負人が繁盛するようになります。
長川様
あの企画は実現しませんでした。似たようなお話は地銀協・全信協・全国信用組合中央協会ではしてますが・・・。レジュメを見て、経営批判されているように受け止める方もあったようです(笑)。
悲しい話ですね。
今の金融機関には志というものないのですね?
人に役に立つために変わって頑張ろうという気持ちがないのですか?