優位なポジションをなぜ活かせないのか

AIフィンテックを駆使した異業種やネット系が地域金融機関の常識を打ち砕くローコストで来襲する流れの中で、地域金融機関はいままでの延長線上の経営が許される状況にありません。

大胆な業務の絞り込みは必須ですが、地域のトップ地銀やコミュニティーの中心的存在の信用金庫や信用組合が「選択と集中」を行うことは容易ではありません。思い切ったコストカットや異業種等との連携により、フルライン業務を維持していくことを余儀なくされるでしょう。

そういう観点から、預かり資産業務において地銀トップが大手証券会社との連携に踏み切ったことは意味があります。証券関係手数料の急激な低下からも明らかなように、この業務は今後収益の柱になるとは思えず、とはいえ地域トップバンクは「預金から投資へ」の流れの受け皿から逃げることはできず、連携でのコスト削減は正しい経営判断です。

いまこそ「選択と集中」なのですが、それができるのは地域の二番手地銀や第二地銀です。

たとえば山形県の第二地銀、きらやか銀行は中小小規模企業との取引 (本業支援) に傾斜しています。また九州の日豊本線の3つの第二地銀 (豊和銀行、宮崎太陽銀行、南日本銀行)も中小小規模企業の売上増加を支援するところにフォーカスしたビジネスモデルで顧客の支持を受けています。

ただこういうケースは少数派。多くはトップバンクと同じフルラインで戦っています。同じ土俵で戦えば (聖域なき業務提携でも行わない限り) 規模の小さい方が不利なのですが、トップバンクとの差別化ができていません。

「選択と集中」ができる優位なポジションにあるのに動こうとしない。

経営者の決断力の欠如です。

これでは将来がありません。行員の流出が止まらないもの宜なるかなです。

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コメント

  1. 東北の銀行員 より:

    数年前、出向していた組織の役員から「失礼ながら御行は規模的にもフルバンキングは止めて、得意の中小企業向けにリソースを集中した方が良いのではないか」と言われたことがあります。

    その時は、ずいぶん現実離れしたことを言う人だな(失礼)と冗談のように感じておりましたが帰任後数年を経て、改めて当時の会話が現実味を帯びたものだったのだと思います。

    その役員は某地域銀行の頭取を歴任された方でもありました。

  2. qzs04203 より:

    東北の銀行員さんの銀行は、絶対に業務を絞り込むべきだと思います。
    そのほかの業務は同一地域の某銀行さんにやっていただけばいいのです。
    それをやられると某銀行さんは一番嫌やなんですがねぇ。

    • 東北の銀行員 より:

      全く仰る通りです。
      今正に「変革運動」が必要な時ではないかと思うのですが…