フリーライダーさん、あなたの出番はありませんよ

2月29日のブログ「セーフティネット保証、担い手に求められるもの」の続編です。

昨日 (2/28)、経済産業省/中小企業庁は、新型コロナウイルス感染症によって事業活動に悪影響が出ている(出るであろう)中小企業・小規模事...

「セーフティネット保証4号」、信用保証協会による100%全額保証ですが、かつての「中小企業金融安定化特別保証制度」(特別保証制度、1998年) や「原材料価格高騰対応等緊急保証制度」(緊急保証制度、2008年) の折に顕在化した、レイジーバンクのフリーライダー行為が懸念されます。

今回も貸し手サイドから「早い者勝ちだ」などという話も聞こえてきますが、とんでもありません。

100%保証はノーリスクで”金利ただ取り”ではなく、金利をもらう以上はそれに見合う仕事をすべし。仕事をしない金融機関は適用除外とすべきでしょう。

すなわち、貸しっぱなしの金融機関にはお引き取りいただき、実行後の経営改善の支援を保証協会とともに行う金融機関に優先権を与えるべきと考えます。

某県信用保証協会の元幹部 P氏の名言ですが、「保証協会は保証料を金融機関からもらっているのではなく、借り手からもらっている」のですから、当然のことです。

繰り返しますが、創業資金と同様に、危機対応資金も「金を出すこと以上に、出してからの本業支援・経営改善支援が重要です。

出しっ放しのフリーライダーどもには猛省を求めるとともに、フリーライダーを見きわめる立場の信用保証協会も真価が問われることを肝に命じてほしいものです。

最後にワタシの最も信頼する地域金融の担い手の一人 X氏の言葉を紹介します。

~ 莫大な数のお客様の資金繰りに対応するわけですが、すべての事案において『妥当な金額』の見極めと『蒸発した売上、利益をどのように取り返していくか』という PL改善の方向性をお客様と一緒に考えていく仕掛けをしなくてはなりません。もちろん我々が言う以前にお客様の方でそれを考えられる訳ですが、その為に安心して改善策を検討できる環境を作って差し上げるのが今回の資金の目的なのです。そしてなかなかご自身で考える術がない、とか、以前から収支が低迷している先には、今回の対応と同時に集中支援を行う必要があります。これは金融機関サイドにとっても『債権保全』という意味で必要な事です。担保や保証人を強化するとかでなく、一番の保全策は企業存続を支援する事のはずです。銀行、信金、信組、保証協会、また行政、商工団体、みんなが一丸となって乗り越えなくてはならない危機です。

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コメント

  1. 増田寿幸 より:

    フリーライダーはどんな業界にも見られますが目先の短期的な成果を求める戦術です。中長期的には必ずしも合理的な戦術とは言えないと思います。今回のような政策的保証制度に金融機関がフリーライドすると、営業現場は顧客実状を無視して保証付き融資を配ることになります。事業性評価はもとより顧客との会話をカットして融資を押し付ける営業を奨励することになります。それは営業現場のロボット化であり、審査能力や顧客支援能力を劣化させ、営業現場の成長を阻害します。人間は易きに流れるものですから、この効果はその組織に長く、深く、影響するものです。そうすると短期的には収益が増大しても中長期的には金融仲介能力を自ら劣化させるので著しい不利益を被ります。だから間違ってもフリーライドなど地域金融ではあってはならないのだと思います。

  2. 八代恭一郎 より:

    期末の貸出残高目標が大幅未達である地域金融機関なら、このセーフティ保証の3末の実行見込報告を、要注意先以下も含めてあげるようにいわれていませんか?
    このような報告を求められている地域金融機関にお勤めのあなた!
    自行は旅芸人さんのいうレイジーバンクではないと思っていたかもしれませんが、あなたのお勤め先は正真正銘のレイジーバンクです。残念ながら・・・。

  3. 東北の銀行員 より:

    確かに90年代後半「中小企業金融安定化特別保証制度」導入後、金融機関のモラルハザードが大きな問題になったと記憶しております。
    当然ですが今全ての金融機関において、これは「地域の危機」であり決して「ビジネスチャンス」などではないと強く認識する必要があります。
    もし3末の残高稼ぎだなんて考える経営者が居たとしたら即刻処罰ものです。

  4. 田舎の若僧 より:

    コロナ以前の経済情勢で与信費用が増加してきている昨今。昔ほど露骨なことはできないにせよ、プロパーの返済原資を100%保証に見いだそうとしようとする不届きな金融機関は出るでしょうね。それが大半だろうととは思いたくもありませんが。

    一方の保証協会もこのような局面での役割こそが政策で求められているとはいえ、数年来減少している保証残高に歯止めがかかりそうでよかったよかった、とレベルの低い議論に陥らないことを祈ります。

    いずれにせよ顧客不在の議論です。

    思い返せばリーマンショックの時、震災の時、あれだけの規模での経済対策がありながら相当数の企業が倒産に追い込まれました。金融支援が金融機関の仕事だという線引きによる消極的不作為が倒産を増やしたと今思えば反省しないといけないのかもしれません。
    当時の反省と、誰にメシを食わせてもらっているのかを考えれば自ずとやるべきことは決まってくるはずです。