5月になり、いよいよ民間金融機関を窓口にした実質無利子・無担保融資(→ゼロゼロ)が始まります。
https://www.fsa.go.jp/news/r1/ginkou/20200501-2.html
これにより危機時の資金供給の窓口は広くあまねくという本来の形となり、日常の取引関係があり事業者の実態を把握している民間金融機関が緊急時の資金繰りも支援するというあるべき姿になりました。(一部のリレバン金融機関が既に実行している通り、ゼロゼロのあるなしに関わらず、自主的に緊急対応するのが真の意味の顧客本位であることは言うまでもありませんが)
遺憾ながら、多くの地域金融機関には資金繰り支援を行うことがゴールとの誤った認識があります。
資金繰り支援に止まることなく、地域金融機関は早急に次のステップに入らねばなりません。
さて、
コロナ禍は地域金融機関の最大のリスクが地元事業者の「事業継続の断念」にあることを知らしめました。
この「事業継続の断念」という最大のリスクを回避するために、地域金融機関は次にあげるアクションを起こす必要があります。
①事業者の財務基盤の安定化、
②速やかに事業者の新たな収入の道を一緒に考える、
③新しい事業展開も含め再成長の道筋を一緒に考える、
それぞれの項目につき、補足します。
①については、REVICによる中堅中小企業向けの資本注入プログラムが公表されましたが、官に頼るだけではなく、地域金融機関が自らの力でやれることはあります。
ひろぎんキャピタルパートナーズの出資ファンドはその一例ですし、
資本性劣後ローンの積極的な取り組みもそうです。(リスク資産の増加となっても有価証券運用でのリスク資産を圧縮すれば済むこと。資本性融資の信用リスクコントロールの方が有価証券運用の市場リスクコントロールよりもはるかに実感があります)
②③については、“今の時点で”事業者に対し、その姿勢を示し、実際に行動を起こすことが求められます。これこそが事業者に廃業を思いとどまらせる「切り札」です。
ここで威力を発揮するのはリレバン人材です。目先の融資ボリューム、手数料収入を追うだけのプロダクトアウトの物売り人間ではありません。
地域金融機関の経営者には、財務支援、事業支援、経営改善/事業再生(さらには経営者派遣、ひろぎんキャピタルパートナーズのように)により顧客の企業価値を高めることができる人たちを前面に押し出して、フル稼働させるようなマネージメントが求められます。
そう考えると、5月1日のブログに書いた諏訪信用金庫のような経営方針(事業再生できることが支店長の登用条件)は、今を先取りしたものですね。