昨晩の日経電子版に続き、同紙中国版でもゼロゼロ融資の一ヶ月の総括記事が出ています。
「無利子といえども借入金を増やすことに抵抗感を持つ中小・零細事業者は多く、損益改善につながる事業支援を金融機関が併行できるかが今後の焦点」との指摘はもっともです。
記事によると、島根県信用保証協会は企業の不安を払拭をしようと地域金融機関と連携し、業種別や個社別に損益改善の道筋を立てることに注力しているとのこと。
まさに1月18日の松江市における企業再生人シンポジウムの主催者の本領発揮です。
~本店営業部長の小野拳氏は「借りる方は不安を抱えている。損益改善の手立てを伴走して考えることが重要だ」と話す。(中略)コロナを一因とする倒産や廃業が出始めているなか、地域金融機関による「貸し方」の巧拙が地域経済の行方を左右する。(同記事より)
蛇足ながら、
~据え置き期間は長くとも元本は当然返さないといけない。(中略)多胡秀人氏は「無利子融資の実行のみでコロナ対応をしていると思っている金融機関は多い」と指摘する。リスクがない無利子融資にばかり熱心で、自前融資(プロパー融資)や事業支援がおろそかになる例は全国でも見られるという。金融庁が今後、自前融資の残高をチェックするようになるのは「レイジーバンクにメスを入れるためでもある」(多胡氏)。(同記事より)
コメント
「損益改善の手立てを伴走して考える」の第一歩は、銀行であれ信金であれ、担当する取引先のことを十分な時間をかけて考えることであり、したがって、経営としては一人あたりの担当先数を激減させるしかないはずです。どんなに優秀な人でも一度に数十社の損益改善を同時に考えるなどできるはずもないのだから。できたと言うなら、それは、大嘘つきか、神様ですから。
貸借対照表のスリム化や長短借入金の見直しなど、BSの改善は意外と銀行員の得意技です。
ところがこれがPLの改善となると、からっきしダメな銀行員が多いのも事実ですね。だから安易なコンサル紹介やビジネスマッチングに行っちゃうんでしょう。
実際「本当にできる人」でせいぜい半期2~3社程度のペースではないでしょうか。
増田様
おっしゃる通りだと思います。担当一人でできる事は限られます。
ただ地域には多くの中小企業支援機関があります。実行すべきことやその手順などを真の意味で共有できれば、意外と(失礼)大きな力を発揮してくれたりします。
そして皆で手分けしながら、かつ選択と集中。
・・・それでも終わりのない道でしょうが。
頼りになる専門家を、金融機関自ら見極めて手駒に持つことが重要ですね。しかし、地域によっては、(専門家)協会がそれを面白く思わないどころか、邪魔をするケースもあるようです。