15日の日経電子版、「中部8行、貸出金が1兆6600億円増 新型コロナで企業支援」の内容を見て、
「ゼロゼロもここまで来たか!」と驚きの念を隠せません。
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~中部地銀の貸出金が急増している。6月末の残高は8行全てが過去最高を更新し、合算すると1年前比で1兆6600億円増えた。新型コロナウイルスの流行に伴い取引先企業の資金繰り支援が相次いだ。感染は再び拡大しており、貸出金は今後も高水準で推移するとみられる。
貸出金の増加が目立ったのが、愛知県を地盤とする名古屋銀行、愛知銀行、中京銀行の3行だ。自動車メーカーと取引関係の深い三河地方の中小企業や、名古屋市内の飲食・サービス業の資金需要に応じた。
愛知銀の残高は2兆2605億円と、1年間で25%増えた。名古屋銀は16%増の2兆9945億円だった。中京銀も1割増やした。
国の財源をもとにした実質無利子・無担保融資の取り扱いが5月から民間金融機関で始まり、貸出金の伸びに拍車をかけた。地銀の積極的な働きかけもあり、手元資金に余裕を持たせたい企業の申し込みが相次いだ。7月以降も「(申し込みの)ペースは下がっていない」(愛知銀)という。(ー中略ー)貸出金は増加分の大半を実質無利子融資が占める。愛知県の制度を使って10年間借り入れた場合、金利は1.4%。企業の金利負担はゼロだが、金融機関に政府から金利相当分が入る。日銀名古屋支店によると、中部地銀の貸出約定平均金利(5月の新規融資分)は0.886%だった。低金利が続くなか、実質無利子融資との利幅は大きい。信用保証協会の保証が付くため、貸し倒れリスクも小さい。(同記事より)
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愛知銀行の「1年で“25%“の貸出増」とはものすごいペース。おそらく、全国の地域銀行でトップなのではと思います。
ですが、
このブログで何度も書いていますが、コロナ禍で地域銀行のやるべきことは資金供給で一丁上がりではなく、取引先のウイズコロナ・ポストコロナの事業支援をしっかりと行うことです。
そういえば、6月24日の日経電子版に、愛知銀行の新頭取のインタビュー記事が掲載されていました。
「どうやって本業を改善させますか」との問いに対し、
〜「課題解決型の手数料収入を増やす。M&A(合併・買収)や事業承継などから得る手数料収入を、22年3月期に12億5千万円と19年3月期比で倍増させる。M&Aは売り手と買い手のマッチング機会を増やすために他の地銀と連携し、案件を情報共有する」、「貸出業務は19年3月期から量の拡大を求めず金利重視に変えた。成果は出ているので、この路線をきちんと守りたい」(同記事より)
融資ボリュームの追求ではなく顧客の課題解決に注力するとのことです。
M&Aを含む事業承継が顧客の大きな課題であることは間違いありませんが、「ウイズコロナ・ポストコロナの事業の方向性を一緒に考えて支援すること」(お客様の一番求めていることです)も付言して欲しかったですね。
「手数料ありきの課題解決」では、あっという間にお客様から見破られます。
追記: 中京地区はリレバン不毛の地と書いています。