テレビは難しい

昨日のNHKニュースウオッチ9で、地銀再編が取り上げられました。

十八親和銀行の合併事例が取り上げられる中で、多胡もチョロっと登場しました。

1時間弱の話をした中でどの部分が抽出されるか?、注視しておりましたが、結果はご覧のとおりです。ご興味のある方は見逃し配信でも見てください。

ワタシが話した骨子は以下の通りです。

少なくとも「いまは再編のタイミングではない」というところは、出してもらいたかったです。

テレビは難しい。

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銀行法第1条には「国民経済の健全な発展に資することを目的とする」と書かれている。菅政権の誕生で、地銀再編にフォーカスがあたっているが、何のための再編か。金融機関の自己都合ではなく、「顧客のためになる経営統合・合併」、すなわち国民経済の健全な発展に資するものでなければならない。

経営統合・合併は、「資本の統合」である。経営統合や合併で効率化施策としてあがる店舗の統廃合などは金融機関の自己都合だし、システム共同化などバックヤードの統一は資本を一緒にせずとも、業務提携や連携によりできることだ。それでもあえて資本を統合するのは、十分な資本がないが故に地域企業、地域経済を支えられない場合に限られるだろう。

コロナ禍で今後、苦境に陥る企業が増えることは避けられず、それが貸し手である地域金融機関の資本の毀損をもたらすことは想定しておかねばならない。それに対する資本強化策は増資(公的資金によるものも含む)に加え、他の金融機関との資本統合(すなわち経営統合・合併)が一つの選択肢として上がる。

ただ、いまは資本統合するタイミングではない。地域金融機関が資本毀損を起こすまでのある程度の時間軸はとれる。それに合併・経営統合には多大なコスト(機会費用も含む)やマンパワー(企業文化の融合など)を要する。コロナ禍に苦しむ事業者や個人顧客のためにすべてのリソースを投入せねばならぬ緊急時に経営統合・合併のためのコストやマンパワーをかけるのは顧客本位に反する。

さらに言えば、コロナ禍で業況が悪化した事業者に真摯に向き合う、逃げない地域金融機関ならば、地域を支えるための「大事な資本」を安易に他のそれと混合(つまり資本統合)させるわけにはいかないだろう。

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コメント

  1. 森脇ゆき より:

    多胡さんや現場で奮闘する方の生出演をお願いしたいです!(視聴者の声)

  2. 長川康一 より:

    自身の真に言いたいことが取り上げられず、局にとって都合のいい所だけ取り上げられるのは悔しいと思います。
    悔しいですよね。

  3. 隠れ饂飩県の野良コンサル より:

    ニュースウォッチ9、オンエアを拝見しておりました。
    1時間も「取材」で拘束しておいて、騙し討ち同然にご本人の意図と全く異なる切り取りを行うとは、NHKはあまりに酷すぎますね。
    はじめから決められていた筋書き以外の報道を行う気が無いのであれば、お為ごかしの「お話拝聴」などせず、堂々と多胡さんに自論をぶつけ、議論すべきでしょう。
    取材に来たのがNHK本局の記者だとしたら、報道人の倫理に悖ると思います。金輪際、報道活動に関わらないでほしい。
    (来られたのが下請け制作会社のお遣いだとしても嫌ですが…)