今週、某所での地域金融機関幹部との話。
テーマは、
「メガバンクの経験は地域金融機関でどれだけ通用するか」
もちろんヒト次第なのですが、ワタシ自身、経済合理性の支配力が強い“メガバンク経営”と、経済合理性と社会性のバランスが求められる“地域金融機関経営”とは、同じ金融機関であってもまったく異なるものと考えています。
第一勧業信用組合の新田さんのように、メガバンクであろうが協同組織金融機関であろうが、経済合理性と社会性という2つの軸への配分比率を顧客基盤や社会環境に応じて絶妙に変えることのできる達人は極めて限られています。
そういう意味で豊和銀行の権藤さんも稀有な人です。
反面、メガバンクでの経験を踏まえ、経済合理性の物差しを振りかざして失敗する例は少なくなく、残念に思います。メガバンク出身の地域金融コンサルタントもあまり聞いたことがありません。
私事ですが、
かくいうワタシは国際業務がほとんどの都市銀行出身、それも経験のほとんどがマーケット回り。
経済合理性のモノサシしか持っていなかった人間が、どうやって経済合理性と社会性の融合体である地域金融機関の仕事がなんとか務まっている(本人はそう思っている)か、それは地域金融との最初の接点が“社会性でしか金融機関経営ができないところ”だったからです。
そこは稚内。
ワタシは1986年以来、20数回にわたって稚内を訪れて、稚内信用金庫の故井須孝誠もと理事長、増田雅俊理事長の薫陶を受けてきました。
ロンドンの勃興期のデリバティブズと稚内の地域金融、この両極端ともいえる金融を身近にとらえることができたことが、今の仕事の土台にあります。
★参考まで:
稚内信用金庫の井須さんの話はこちらに。