🚩当事者の本意が伝わらない

昨晩の日経電子版の記事「コロナ禍、地銀再編促す SBI、筑波銀と資本提携」です。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB214CH0R20C21A4000000/

〜SBIと筑波銀行は近く約1億円を相互出資する。市場で既存株主から買い取る。地元企業の事業承継を支援したり、地域のスタートアップ企業に出資したりするファンドを共同で立ち上げる計画だ。筑波銀や地元企業にSBIが持つデジタル技術も提供する。SBIは地銀連合構想を唱えており、今回の提携で合計8行となる。筑波銀行には2011年、金融機能強化法に基づき350億円の公的資金が注入されている。(中略) SBIは筑波銀の新たな収益源をつくり、公的資金の返済を後押しする

ワタシは金融機能強化法の審査会のメンバーを10年間務めていましたが、その経験からすると、この記事にある上記下線の部分に違和感を感じました。

金融機能強化法による公的資金を導入している筑波銀行がSBIと提携するのは、法の趣旨に則り、金融仲介の機能を強化して顧客本位の業務運営をレベルアップすることが目的だと推察されます。そのための有効手段がファンドやデジタル技術(DX)。

金融仲介の機能が強化されることで顧客との共通価値の創造につながり、それが銀行の収益へと跳ね返ってくる、これが今回の提携のポイントであり、「提携が収益源を作ること」と表現すると、プロダクトアウトでがむしゃらに収益を上げることというふうにとられかねません。

筑波銀行はもちろん、SBIにとっても本意ではないでしょう。

金融庁の監督検査には2つの軸があります。縦軸 (収益力、健全性) と横軸 (金融仲介の改善) です。両者をいかにバランスさせるかが、地域金融...

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