コロナ禍の地域金融機関にとって、2020年度下期、2021年度の最重要課題は、貸出先のランクダウン増を展望した「与信費用のコントロール」であることは本ブログでも何度も触れています。
具体的な対応は組織的継続的なリレバン、財務面と本業面での伴走支援に尽きるのですが、伴走支援の有無、強弱を貸倒引当金に反映させることも並行的に検討していきたいものです。
ディスカッションペーパー「検査マニュアル廃止後の融資に関する検査・監督の考え方と進め方」(2019年12月)には、以下の文言があります。
「新たに再生支援態勢を強化して、要注意先のうち一定のグループの貸出先を支援対象とした場合に、他の貸出先よりも当該対象先の経営改善が進みやすくなったケースでは、当該貸出先を切り出してグルーピングし、調整の要否を検討することが考えられる。その際、例えば、一定期間での当該グループと他の貸出の上方遷移率、下方遷移率を比較する等の方法により、当該支援態勢の実効性を評価し、その実効性の程度に応じて、引当率を調整することが考えられる。」(同ペーパーの25ページ)
コロナ対応の引当のキーワードは「伴走支援のグルーピング」です。
コメント
多胡先生の仰るとおりです。金融機関の担当者が融資取引先にたいして、経営支援や事業再生など業務を行う場合には、貸倒引当金を十分積んでこそ、腰を据えてできるのではないでしょうか。再生支援業務は息の長いものです。地域金融機関はこれから本当の真価を問われることとなります。