水野先生の話、続き 2021/1/25 日記・コラム・つぶやき 2 そうそう水野先生の話、大事なことを書き漏れていました。 橋本さんがブログへのコメントでフォローしてくださいました。 必見です。 🚩実務経験のある研究者との出会い 昨今、地域金融・中小企業金融への注目度がアップ。いつになく地銀再編などの論考が多く発信されています。 興味を持つ人たちが増えるのは大...
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「債務者の良き行動変容を伴ってこそ、良質な債権になる」、対偶命題は「良質な債権でなければ、債務者の良き行動変容が伴っていない可能性がある」。水野先生の実務経験は地域金融ではなく、地域のエコシステムにおける望まなくとも強いられる、地域金融特有の金融包摂に関する実務経験であるものと思われます。
コロナ禍で苦しむ事業者に火中の栗を拾う覚悟で劣後ローンを出しても、業況が回復するとすぐに簿価で繰上弁済されるため徒労感しかないといった声が聞こえてきます。ファイナンス支援に限らず、全く売れない商品を販売してきたがために業況の悪化した事業者に、手数料をもらって安定的な大口販売先を見つけてあげた結果、業況が急回復しランクアップまで実現した挙げ句、手数料を下げてくれといわれるケースもみたことがあります。
金融包摂の実態を知らない有識者であれば、誠心誠意債務者に尽くしても、そうしたしっぺ返しを食らうような残念な債務者とは取引すべきではなかったという、金融排除思想丸出しな後講釈をすることが多いのですが、地域のためによかれと誠心誠意やっても行動変容が絶対に起こりえない債務者を相手にするしかないのも地域金融であるように考えています。水野先生の言葉を借りれば、地域金融のエコシステムの中には良質とは言えない債権を抱えていくしかない地域金融機関が存在するということではないでしょうか。当然良質な債権ではないので、残念な債務者ほど積極的に望む債権放棄をやろうにも、振る袖(厚い資本)もないものです。
水野です。八代先生、コメントありがとうございます。コメントいただきましたように、地域金融特有の金融包摂に関する実務経験から多くの矛盾を感じています。鶏と卵の議論になりますが、金融包摂の実態を鑑みれば、債務者性善説で議論を行う危険性は肌で感じています。地域のためによかれと誠心誠意やっても行動変容が絶対に起こりえない債務者が増えてしまった要因は、地域金融機関同士の不毛な競争が生み出した結果とも感じています。ご指摘の通り、地域金融のエコシステムの中には良質とは言えない債権を抱えていくしかない地域金融機関が存在すると思います。
先ずは債権者である金融機関が我慢して意識改革をすることの改善の第一歩かと思います。