本日3月11日の日経フィナンシャル「東日本支援機構、なんとかするバンカーの震災戦記」。
橋本卓典さん渾身の力作です。
https://financial.nikkei.com/article/DGXZQODF0707V0X00C21A3000000?s=1
池田社長の持ち込んだ「殿軍」の書には背筋が伸びました。
専務の荒波辰也さん(商工中金の事業再生支援の元祖)や、石田晋也さん(金融庁における地域金融の現司令塔)の当時の八面六臂の活躍が目に浮かびます。
東日本支援機構は小規模零細事業者・個人事業主の再生に目を向け、面的再生を図りました。
~池田は、事業者支援において社会的な有用性、規模の大きさ、再建のコストに見合うかどうかの議論を封じた。そして中小企業再生支援協議会も対応できない小規模零細事業者、そして個人事業者の再生にまで目を向けるよう求めた。(本記事より)
~一般的に、国による債権買い取りなどの金融支援スキームは、どうしても個社ベースの「再生の確実性」に寄ってしまうため、小規模零細事業者は見捨てられやすくなる。しかし、現実には地域の商店街や町のにぎわいは、いくつかの好調な中堅企業ではなく、無数の小規模零細事業者がつくりだす地域経済エコシステムによって成り立っている。その意味で、支援機構は、支援先数だけでなく、小規模零細事業者に重点を置いた支援実績を残したことも特筆すべきだろう。(同じく本記事より)
小規模零細事業者はコロナ禍でのゼロゼロ融資の対象先と合致しますが、資金を流し込むだけで一丁上がりのレイジーバンクだらけの惨憺たる現状(これが廃業の加速を招いている)を見るに、橋本さんも強調しているように、再生支援機構の「震災戦記」から学んでほしいものです。
「支援コロナ禍で地域を支えなければ自らの存続基盤を失う地域金融機関は、殿軍という言葉を肝に銘じなければならない。」(本記事より)
コメント
ありがとうございました。震災における企業支援の教訓は「数多く&スピード」です。その目的は、事業者のみなさんの心が折れないようにすることでした。火事場泥棒や不正受給、カネに目が眩んだモラルハザード、夜郎自大、いろいろありました。しかし、何より優先されるのは、面的復興。個々の会計やら収支だけに拘り過ぎず、事業者ネットワークで、復興への希望が広がるように手を打つことが、大きかったのです。これはコロナにおいても示唆に富みます。「数多い支援とスピード」、これより優先すべきものはありません。