🚩レピュテーションリスクと品格

21日の日経に掲載されたフィナンシャルタイムズのロバート・アームストロングさん(USファイナンス・エディター)の論考「金融業は『品格』取り戻せ」。

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210421&ng=DGKKZO71194070Q1A420C2TCR000

アームストロングさんは、レピュテーションリスクという視点から、金融機関に対し「品格」を求めています。

企業理念から逸脱した経営を行っている金融機関は「品格」が欠落しており、それがレピュテーションリスクを招いていること、取締役会・経営会議等では常に企業理念に立ち返るように、との指摘は胸に響きます。

森長官の後期、さらに遠藤長官の金融庁からは、「経営理念から現場の行動への一気通貫」の重要性が発信されましたが、そのことと本論考の趣旨は相通じるものがあります。

該当する箇所を抜粋します。

~すべての企業、すべての経営者は昔から必ず、取引する相手の人格・品格を気にかける必要があった。昨今レピュテーションリスクが増しており、そのリスクが制御できなくなるまでに至る時間も短くなった。

~ただ、デジタル時代の企業には、変化に素早く適応すべき機敏さが必要だが、「取引相手(パートナー)から生じるレピュテーションリスク」についていえば機敏さは何の役にも立たず、不変の目標と価値観を確立する必要がある。どのパートナーを選ぶべきか、また問題が発生した時に何をすべきかについて明確な意識を持つようにするためだ。

~英オックスフォード大学コーポレート・レピュテーション・センターのルパート・ヤンガー所長は、企業の評判を「能力」と「品格」の2つに分けている。品格の欠点が露呈するたびに、企業文化か制度に問題があるようにみえてくる。

~金融機関の取締役会は、株主に報いる以外に、自社の存在意義を明確に示さなければいけない。事業戦略を超えた自社の目的と、それをどのように達成するのかを語れなければならない。会社は誰を助けようとしているのか。助けるために、どんなことをするのか(または、しないのか)。

~ステークホルダーの意見が対立し複雑化する中で、取締役会や経営幹部がレピュテーションリスクを最小限に抑え、その悪影響を管理する唯一の方法は、なぜ自分たちが事業を手がけているのか、何を大切にしているのか、そして誰と取引するのかを明確にすることだ。

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コメント

  1. 北門信金企業支援室長 伊藤貢作 より:

    ゼロゼロ融資で預金も平残も目標達成!と喜んでいる金融機関や構成員は、是非とも『品格』を取り戻して欲しいですね。

    例年並みの給与、賞与、これは例年並みじゃなくて、コロナなご時世では『破格』な待遇です。コロナの影響もあり、御客様の訪問もままならないなら

    企業支援や再生知見の共有や研鑽を進めたり、役員はオンラインでも、御客様の相談が機動的に行えるような投資や研究をする。

    その為に賞与や給与を一時期削減してでも、資金投下するべきじゃないですかね?コロナ禍で国民の税金たるゼロゼロ融資じゃなく

    プロパーでリスクの過半を負っている組織なら、『ご苦労様』でもよいでしょうが、他はせめて1人10万の給付金額相当分くらいは、賞与をカットして

    今だからできることに、お金を使うべきだと思います。私は組織全体を動かせないので、せめて個人の行動としては、そうします。

  2. 長川康一 より:

    部下は見ている、
    お客様は見ている、
    お天道様が見ている。
    ですね。