本年度版の「金融仲介機能の発揮に向けたプログレスレポート」(金融庁)が公表されてから1ヶ月以上が経過しますが、ほとんど報道されていません。
https://www.fsa.go.jp/news/r2/ginkou/20210708/01.pdf
コロナ禍の事業者の動向も含め、恒例の企業アンケートの分析結果など興味深いものもありますが、ニュースバリューがないとの判断なのでしょうか?
プログレスレポートp30~34には「検査マニュアル廃止後の引当実務等」という項目があります。
~今般の新型コロナウイルス感染症拡大の影響下では、金融機関は、事業者のため にリスクを取って迅速に支援するなど、価値ある事業の継続や発展を支えるために、 多様な取組みを進めてきた。金融機関は、こうした取組みを進めるため、その背景にある信用リスク管理・自 己査定・償却・引当実務等についても、多様なあり方を検討し始めている。事業者 支援の取組みと償却・引当実務が整合的であれば、金融機関は、ストレス時であっ ても幅広い選択肢の中から借り手企業の再建等に向けて適切な支援策を適時に講じることができるからである。適切な償却・引当は、金融仲介機能の強靭性の基礎となる。(本文より、p30)
金融庁のホームページには本プログレスレポートのサマリーが掲載されていますが、
https://www.fsa.go.jp/news/r2/ginkou/20210708/02.pdf
「検査マニュアル廃止後の引当実務等」についてもポイントがまとめられています。(↓)
いずれも違和感はありませんが、こういう観点からの検討、具体的取り組みがごく少数の地銀においてでしか、行われていないというのがワタシの認識です。
旅芸人ブログでは、「コロナ禍では制度融資を出してオシマイではなく、中小小規模事業者の経営改善・事業変革の支援が本丸だ」と主張していますが、そのためには上記のような視点がなければ始まらないのではないでしょうか。
この期に及んで「金融検査マニュアルを廃止する意味があったのか?」との質問を浴びせてくる人(それも責任ある立場の人)がいますが、検査マニュアル金科玉条の中でコロナ禍となっていたらどうなったことか。
考えるだけで身の毛がよだちます。