十数年前にしばしば札幌に行っていましたが、道内の信用金庫が軒を連ねるように出店する信金ストリート?が話題になっていました。
「道内信金、不動産頼み鮮明 貸出金残高、10年で6割増〜36%、近畿・東海上回る 人口増続く札幌に出店」
本日の日経北海道版です。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO75315820R30C21A8L41000/
〜北海道の信用金庫は直近10年間で不動産業への貸出金残高が約6割増えた。人口増が続いてきた札幌市と近郊のアパートローン向けにくわえ、新型コロナウイルス禍での融資増も際立つ。製造業や建設業への貸し出しは人口減などで回復の兆しがみえず、数少ないドル箱に依存する姿勢が鮮明となっている。(記事より)
〜地域別で見ても、21年3月末時点の企業向け貸出金残高のうち不動産業向けが占める割合は北海道が36%と高い。東北や東海は25%、近畿や九州でも29%だ。(記事より)
〜日高信金(浦河町)は21年3月期の不動産業向け貸出金残高が352億円。自治体や個人向けも含む貸し出し全体の42%を占めた。「札幌進出を機にアパートローンが増えた」(業務課の山田一也氏)といい、11年3月期(26億円、6%)とは大きく構成が変わった。(記事より)
過疎化が急速に進み、地場の経済がシュリンクし、資金需要が激減していることは分かるので、無責任なことは言えないのですが、
「札幌進出をいかにして地元の活性化につなげるのか、地場の信金も考え直す時期がきている。」
という久保田記者の最後の一文を、札幌進出で起死回生を図る信用金庫経営者はしっかりと受け止めてもらいたいものです。
コメント
この現象は北海道の信用金庫に限った話ではなく、日本全国の地域金融機関にもみられる傾向なのではないでしょうか。
いくつかの道内金庫のディスクロを見てみました。貸出残高は大幅増加も貸出利息収入の伸びはそれほどでもありません。またアパートローン商品を見ると融資期間30年以上で生命保険付与とあり、こうなるとアパート事業主の収益性も疑問で金融機関にとっても安定した貸出残高となるか疑問です。
地域金融機関の最大の悩みは、地域産業の縮小衰退・高齢化・人口減少からの資金需要減です。更にネット事業者やグローバル事業者による様々な事業への参入拡大は地域事業・地域生活をさらに解体していくと思います。
事業承継やビジネスマッチングだけで地域経済の再生を解決できる問題ではないように思います。
地域金融機関は、「まちづくり3法」が地域社会のためになったのか今一度考える必要があるのではないでしょうか、また遡上している様々な規制緩和案が地域社会経済にどんな影響があるか等、
地域に地盤を置く私たちは考える必要があるとおもうのですが。