2年前、東海道新幹線の車内誌「ひととき」(2019年11月号)にあった元春日大社権宮司 岡本彰夫さんのエッセイ「風格」はとても印象深く、切り抜きを大切に保存しています。
筆者によれば、「風格」と「品格」は別もの。
「風格」は人がたどって来た人生の果てに生ずるもので、各人各様。
~人生の舟に知識や経験や想いを積めるだけ積んで川を下っていく。しかし全てを持っては死ねないから、ある年齢に達した時は、これを捨てて行かねばならない。断捨離だ。しかしいくら捨てても本当の事は残る。残り香のように。その残り香が美しいのだ。捨てた姿は美しい。ただしそれは修めて、修めて、修め尽くした人が捨てた姿が美しいのであって、修めもせず、舟の荷物が少ない人が捨て去った後にはまったく何も遺っていないのである。たどってきた先にあるもの、すべてを呑み込んでから吐き出したあとに遺る。つまり人生の残り香と余韻こそが風格というものではなかろうか。(本文より)
かくありたい 馬齢重ね古希 霜月に