「仕組み債」のコスト開示についての記事が、本日の日経朝刊に出ています。
日証協の指針受けて大手証券会社が行うとのことですが、仕組み債がワタシの想像を越えた勢いで個人の世界にまで広がっていることに愕然としています。
1980年代末期から先物やオプションなどを組み込んだ仕組み債は存在しました。
バブルの最終局面において、ブル型の日本株指数リンク債(←実態は株式指数のプットオプションの売り)への投資を、日本株に強気な見方の本邦機関投資家がせっせと行う裏で、
日本株はもはや天井とみる海外勢が指数のプット・オプションを購入しているのを目の当たりに見ました。
その後、オプションや先物の対象が個別株、商品、信用リスクなどへと多様化し、ノックイン・ノックアウトなどオプション・プライシングの高度化が進みました。
二~三十年前に、この流れを現場で体験した人間としてハッキリ言えることは、仕組み債はプロの機関投資家や運用を専門に行う部署を持つ金融機関等が投資するものであり、運用について興味を持ってそれなりに勉強している個人ならまだしも、高利回りだけにつられて購入する人たちをターゲットにするものではないということです。
仕組み債が、利回りぐらいしか理解できない高齢者にまで売られている現状は、ワタシのような古いタイプの人間には、一般市民を標的にする侵攻とやらと同質に見えてならないのです。
数年前、金融機能強化法の審査の仕事をしていた折に、公的資金を入れている地方銀行の計画書の中に、「仕組み債の販売」との文言を発見し、唖然としました。
国民の税金で資本を補完してもらっている立場でやるべきことではないだろう、他にやることがあるだろう、と厳しく追及しましたが、その後どうなったのでしょうか。
ワタシの審査委員は任期満了となり、そのあとは知りません。