明日から皐月。
月日の流れの早いこと、馬齢を重ねるとともにその感覚が強くなります。
卯月に発信したなかで最もアクセス件数が多かったのは、4月4日の「読者の声」でした。
「コンサルティングで1000万円というのは違うと思うが、融資だけでは金融機関の経費もまかなえないことも事実。貸出金利はリスクに見合ったものではないし、、、」
との趣旨の切実な意見を現場の支店長さんからいただいており(コメント欄をご参照ください)、お応えしなければと思っていました。
「従来の融資に関わる信用リスクは、そのほとんどが過去と現在の財務情報から計測されたものであり、そのリスク量と経費の和が融資金利と見合っているかどうか。」
本日はこの問題についての雑感です。
お客さまとの関係性(リレーション)を深め、事業への理解度(事業性理解)の高め、さらには経営改善/事業再生支援を進めていくには、それなりの経費は不可欠ですが、それによって過去現在の財務情報等から計測されるリスク量を軽減することができるというのがワタシの考え方です。
リレーションシップバンキング(それなりの経費がかかる)の精度が上がれば信用リスクは減少するということです。
逆にトランザクションバンキングはコスト削減を追求できるものの、信用リスク量は過去現在の公表財務情報等から算出されたものの域を出ることはできません。
ピカピカの企業に対してはリレバン的コストはかけず、トラバンというのはわかりますが、この層は競争の激しいレッドオーシャン。コスト競争になると体力勝負となり、さらに低コストで勝負をかけてくる他業態の参入には歯が立ちません。労働集約型のトラバンに将来性はないのですが、多くの地域金融機関はここに固執しています。理解不能です。
ところで、
4月23日に発信した北國FHDの新しい貸倒引当金についての考え方、
「営業施策を反映させたより精緻な引当金の計上を実施するため、これまでの財務情報等に加え、お客さまとの関係性(リレーション)、事業への理解度(事業性理解)を踏まえた基準に変更する」
は、検査マニュアル廃止により期待していたものですが、リレバンで引当額が変わるという意味で大きな一歩だと思います。
引当額の軽減に加えて、
リレバン金融機関はお客さまにとって、交渉相手ではなく、相談相手となるわけですから、さまざまなソリューションビジネスへとつながり、収益機会が生まれます。
一方、交渉相手であるトラバン金融機関にとって真の意味でのソリューションビジネスは容易ではなく、貸手の優越的地位をちらつかせるようなフィービジネスとなりがちです。短期的には収益を上げたとしても顧客離反へとつながることになるでしょう。
昨今の金融庁による規制緩和で、地域金融機関の収益のポケットは従来の預金貸出や決済インフラがらみから格段と増えました。
粛々とリレーションシップバンキングを進めていくなかで、規制緩和の恩恵を受けることが可能になり、収益も着実に増えていくでしょう。
優越的地位の濫用は論外ですし、外部に丸投げで手数料をピンハネするようなソリューションビジネスはお客さまのためになりませんが、これはトラバン金融機関の得意技。リレバン金融機関には無縁です。
コメント
リレバン、改めてとっても解りやすく整理が出来ました。リレバンの精度を上げる努力or目先の手数料収益…地域金融機関のあるべき姿、よく考える機会を頂き有難うございました。