コロナ関連融資で極大化した中小小規模企業の債務額。
いよいよ返済が本格化するとザワザワしていますが、企業が債務を減らそうとすれば、PL改善を粛々と進めていくしかありません。(←当たり前のことを書いてます)
地域金融機関、さらにはゼロゼロ融資等で実質的に地域最大の与信リスクを抱えることとなった信用保証協会は、企業のPL改善支援に全力で取り組まねばならないことは言うまでもありません。(←これも当たり前のこと)
そのためには、コスト面の見直しを借り手とともに考えることもさることながら、キャッシュフローが見込める事業等を絞り出し、そこにはニューマネーの投入も辞さず(←ここが大切です)、単なるフィー目的のビジネスマッチングを超えた粗利益率を0.1%でも上げるための事業支援を併用する、これこそが地域金融機関の方々のお好きな言葉、伴走支援だと思いますが、いかが。
日常取引のない組織までもが伴走支援と宣うのは苦笑を禁じ得ないのですが、肝心の日常取引関係がある金融機関が伴走支援と言いながら「補助金申請を手伝ってます~」のレベルで止まっているのを見ると、“伴走支援”を正しく定義しなければならないという思いが沸々と湧き上がってきます。
「伴走支援= PL改善支援」と大胆に言い切っても良いのではないでしょうか。今は未曾有の過剰債務問題をどうするかというタイミングですから。
それ以外の伴走支援とやらは「なんちゃって伴走支援」。
じゃあ「BS(バランスシート)の問題はどうする」との声、
抜本処理、すなわちBSに踏み込んでの手術を得意とする人たちも伴走支援とおっしゃるのですが(?)、副作用の大きい緊急手術を要する企業の数は多くなく、ほとんどの企業に対しては、出血を止めてPL改善のために全エネルギーを投入するステージにあると思います。
金融検査マニュアル時代には債務償還年数が重くのしかかっていたため、BSのところに目が行きがちであったことは否定できません。
ただ、今は緊急事態です。
まずは「BSの呪縛を解き放ってPL改善支援に全力投球」
これこそが伴走支援ではないでしょうか。
下記は2019年12月に公表された融資ディスカッションペーパーの前書きの部分から抜粋したものです。
ポスト金融検査マニュアルに向けた基本的考え方が示されています。
それから3年になろうとしているのに、金融検査マニュアル時代のままの融資姿勢の地域金融機関が多いこと多いこと。残念です。
金融検査マニュアル時代の発想では、伴走支援などできないことを肝に銘じるべきです。
~これまでの融資に関する検査・監督は、各金融機関のビジネスモデルとは切り離して、特定の内部管理態勢のあり方を想定して画一的に設計されてきたため、金融機関の融資に関する様々な取組みや将来損失の的確な見積りに制約
~本来、金融機関の融資業務については、経営理念を出発点として、これと整合的な形で経営戦略・各方針が策定され、内部管理態勢が構築され、融資方針からリスク管理、自己査定・償却・引当までの実務が一貫性をもって進められることが望ましく、当局の検査・監督もこの点を踏まえて設計されるべき
~「金融システムの安定」を確保するための「健全性の維持」を前提としつつ、 金融機関が顧客の多様なニーズに応えるための創意工夫ができるよう、融資に関する検査・監督の考え方と進め方を提示
コメント
「BSの呪縛を解き放ってPL改善支援に全力投球」
今、まさに求められている姿勢であると思います。
伴走者は、主役である「走者」の安全を確保するとともに、一方向的な「コンサルティング」や「指導」「教育」的な言動ではなく、ともに深く考え、ともに前進する日々の結果が積み重なる事により、PL改善に繋がると感じています。
巷では、本業支援、伴走支援という言葉を良く耳にしますが、企業再生における本業支援、伴走支援は生半可な気持ちでは出来ません。