本日の日経信越版には、八十二-長野ぼ統合発表を踏まえた2つの信用金庫のトップのインタビュー記事が掲載されています。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC192YE0Z11C22A0000000/
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC20E1Z0Q2A021C2000000/
シェア云々の話が強く出て過ぎているのが気になりました。
〜我々の営業エリアである中信地域でも八十二銀は貸出金シェアが5割を超え、全県と同じく圧倒的な存在だ。しかし、我々も2割弱のシェアがある。2割強の長野銀には肉薄しており、これまでは長野銀に追いつき追い越すことが目標の一つだった。(松本信用金庫)
〜帝国データバンクによると、北信エリアのメインバンクシェアは八十二銀が53%と過半を占めており、6%の長野銀を合わせるとさらに大きくなる。とはいえ、当金庫も26%のシェアがあり、八十二銀と遜色ない店舗網も築いてきた。(長野信用金庫)
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そもそも、信用金庫や信用組合は稠密な営業エリアにおいてリレバンを徹底して、
お客様の事業価値の維持・向上を支援していくことがミッションであり、シェアというのはその結果としてついてくるものです。
「経営改善・事業再生の支援を含むリレバンに磨きをかけることで、新銀行とは差別化を図っていく、それこそが地域のお客さま(中小小規模)のためになる」
との主張がなかったのは驚きです。
長野県は静岡県と並んで、信用金庫の地域割ができている地域ですが、八十二銀行、長野銀行が本店を構える地域以外の信用金庫では、
「リレバンをやることで自ずとシェアはついてくる」
との思想で経営しているところもあること(一つではない、そして結果としてシェアも高く業績も良い)を付言しておきます。
コメント
金融機関の事業体としての生き残り・競争に重点が置かれると、ボリューム・利益・シェアといった数字目標が一人歩きし始めます。怖いのは、数字のためのお客様として営業活動が行われることです。その結果が基盤の弱体化となり、更なる生き残り競争の激化となっているのではないでしょうか。
儲かっている会社は利益を追っていないようですよ。
仰る通り「リレバンをやることで自ずとシェアはついてくる」のであって、いくらシェアを拡大してもキチンとしたリレバンを行っていない地域金融課機関に将来はないと思うのですが・・。
私の感覚では、この風潮が顕著になったのは「Mペーパー」なるものが世に出て「5兆円の預金規模がない金融機関は生き残れない」との話が出て以降のような気がします。
その後金融当局は大きくリレバンに舵を切っていると思うのですが、どうも地域金融機関の経営者は「Mペーパー」の呪縛、そして生き残りをかけての自行の収益拡大という呪縛に雁字搦めにされているようで。
地域のお客様に増資株式を引き受けてもらって生き残れた経験を持つ身としては、今のこの独りよがりの生き残り戦略には、長期的な視点からの地域金融機関の持続的な発展という視点から見て大きな警鐘を鳴らしたいと思います。