~「地元の支援を取り付けるなら我々も応じます」。SBIが2度目の資本注入に踏み切ったのは、資本不足は「島根銀が攻めに転じた証し」と評価したからだ。増資の枠組みに地元勢を加えることで地域経済に一段と関与させる狙いもある。単なる資金の出し手ではなく「物言う株主」としての役目を忘れない。
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20230110&ng=DGKKZO67428680Q3A110C2PE8000
本日の日経朝刊・迫真「地銀再編マグマの底流2 試されるきらやか銀行」のなかで、
「物言う株主」の重要性が書かれていますが、
旅芸人が考える地方銀行の「物言う株主」の着眼点は下記の2点になります。
~地元のために円滑な金融仲介機能を果しているか?(地域活性化、地方創生の観点)、
~銀行自身の持続と成長を描いているか?(銀行自身の持続と成長の観点)、
公的資金による資本についても然り、着目すべきはこの2つであり、現有の金融機能強化法では前者の比重が高いものだと思っています。
本記事には、
「金融システムを守るために公的資金を注入してきた金融庁もこれまでの「物言わぬ」姿勢を変えつつある。」
との記述がありますが、
金融庁が「物言わぬ姿勢」だったというのは間違いで、
金融庁の「物言う視点が変わってきている」との表現が正しいと考えます。
金融行政のスタンスが、金融仲介機能の徹底から、銀行の健全性と金融システムの安定性へと重点が移ったということなのでしょう。
物言う株主としてのミニマム要件は、
この2つの視点のバランスをよく理解していることだと思います。
最近動きが目立つ再編目的の投資家は物を言いますが↓、ここでいう物言う株主とはまったく異なります。
地元事業者の場合には、銀行と癒着関係が生じないような距離を置くこと、銀行の優越的地位が通用しない財務基盤を有していること、かつ地域全体の活性化に並々ならぬ意欲のあること等が、物言う株主となるにあたっての要件となるでしょう。
いずれにしても、
銀行の地域における金融仲介機能が本物であることを評価する地元事業者をどれだけ増やしていくかは、資本政策を考える上でも、そしてガバナンス強化の点からも、大切なことです。
経営改善支援、事業再生支援におろそかにしている銀行にできることではありません。
コメント
影響力を持つほどのポジションを有する株主が、地域金融機関のあるべき姿についてものを申すことはとても大切ですし、金融機関のガバナンスにもそれなりに影響力を与えると思います。
ただ、地域のお客様に幅広く増資を引き受けてもらい支えてもらった経験からすると、株主一人一人のポジションがそれほど大きな影響力を持っていないとしても、その意見に真摯に耳を傾ける姿勢が金融機関側の経営に求められると強く思ってしまうのですが・・・。