ダイヤモンドオンラインの連載「橋本卓典の銀行革命」は、毎回他にないギクっとする切り口で楽しみにしています。
現場を歩いて、親しくなって話を聞かないと得られないネタばかりです。
今月は島根銀行の大変革についての話↓ですが、
https://diamond.jp/articles/-/316746
助っ人として同銀行の企業支援室に入っていた伊藤貢作さんの言葉からは、銀行による企業支援における勘所が浮かび上がってきます。
それは、企業支援における銀行側の「あるべき論」や「決め付け」の排除。
企業経営者が熟慮して下した決断に敬意を払わないと経営者は本音を話してくれないという指摘にも“なるほど”と思います。
いまや、島根銀行の現場は好循環に入っています。
組織が大きくない分、一箇所でも点火すれば、あっという間に営業現場全体に広がります。
~営業店の信頼を獲得した企業支援室には、営業店から相談の電話が次々にかかってくるようになった。電話が鳴りっぱなしの「コールセンター状態」(原田室長)になることもある。その効果は企業のみならず、銀行にも確実に出てきている。まず、融資の焦げ付きに備えて計上する貸倒引当金の戻し入れがかなり増えているという。企業支援室が後押しする経営改善策によって、企業の銀行における債務者区分がアップしているわけだ。実際、「実質破綻先でさえ借入金が減っているところがある」(原田室長)くらいだ。(記事より)
凄い‼️
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昨年12月23日の、
「ゼロゼロ融資終了で『悪徳コンサル横行』の懸念高まる、すでに目撃証言も」
https://diamond.jp/articles/-/314943
はタイトルからして強烈でした。
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~国が、新型コロナウイルス禍で打ち出した実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の借り換え保証制度を整備しようと動いている。中小企業の借り入れの返済負担を軽減するためだ。しかし、この制度の導入を機に、金融機関はある「困難」に直面しようとしている。それにつけ込む形で「悪徳コンサル横行」の懸念も高まっており、新たな中小企業問題が浮上しそうだ。(記事の冒頭)
~金融業界が、経営支援を求める企業の多さにたじろぐ中、目立ってきているのが、地方銀行とコンサルティング会社が結託して展開する「コンサルビジネス」のモラルハザード(倫理観の欠如)だ。地銀が、経営難に陥った取引先の中小企業に特定のコンサル会社のデューデリを受けさせ、その対価としてコンサル会社が受け取った数百万~1000万円のコンサル料の半額をキックバックさせている。(記事より)
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何をか言わんや、
です。
コメント
ダイヤモンド編集部の刺激的な「味付け」はありますが、ご贔屓にありがとうございます。
組織を変えるには「経営力」は不可欠ですが、もう一つ欠かせないのは「現場」です。現場を伴わない「経営力」は絵空事となってしまいます。組織に好影響、好循環をもたらす「現場」をどうつくることができるのか。これこそ、組織を変える法則と言えるかもしれません。ちょっと大きな話をすれば、金融行政も「現場」があるからこそ、変わると思っています。
島根銀行の営業店も最初は企業支援室に対して、「???」だったかもしれません。
しかし、「敵ではなく味方だ」「自分たちのお役立ちじゃないか!」と思った瞬間、組織はガラリと動き始めます。相転移です。電話が鳴りっぱなしのコールセンター状態になりました。今でもじゃんじゃん、電話が鳴ります。頼りにされると、人は自ずから成長します。応えなければならないからです。次回の後編は、より「現場」で何が起きているのかをお届けする予定です。
他方、任せるのと、丸投げは違います。丸投げは、カモにされ、付加価値を貶めるだけです。経営コンサルがつくる耳を疑うような「計画」に、こともあろうに窮境の支援先企業が莫大な手数料を支払っている問題は、コロナ禍において、新たな「ならず者ビジネス」を生むのか。引き続き、注視せねばなりません。