CSFB、
1980年代、ロンドンシティの邦銀でユーロボンドに関わった人にとっては忘れることのできない名前です。
ユーロボンドというのはロンドンを中心にオフショアのユーロドル市場で起債された債券であり、邦銀が初めて手掛けた証券業務(引き受け、セールス、トレーディング)の舞台となったマーケットです。当時は日本も、そして米国も銀証分離の世界。
この時代におけるユーロボンド市場でのトッププレーヤーが、CSFB(クレディスイス・ファーストボストン)でした。
1978年、スイスの三大銀行の一つであるクレディスイスが米国の投資銀行ファーストボストンと提携するなかで、CSFBが発足し、1980年代には隆盛を極めました。
極東担当のトップで、邦銀の国際証券業務に多大な影響力を持つといわれた、ドブス・ヒギンソン氏の名前を思い出します。
21世紀になって、CSFBという名前をまったく聞かなくなりましたが、
昨年末にクレディスイスが、17年前に廃止となったこの名称を復活させ投資銀行部門を分社化して、苦境からの脱出の一助としようとしているとの報道を聞き、40年前の記憶が蘇りました。
それもかなわず、クレディスイスはUBSと合併、167年の歴史に幕を閉じることになります。
ワタシが国際証券業務に従事していた頃、ロンドン市場ではスイスの三大銀行がしのぎを削っていました。
三行とも1980年代以降、伝統的な資産運用業務から投資銀行業務へと軸足を移していきましたが、紆余曲折を経て、三者が合体して伝統業務に軸足を戻すということなのでしょうか。
邦銀、外資系金融機関において、そのほとんどを投資銀行業務もどきの仕事に従事していたワタシにとっても、今回のスイスの銀行の原点回帰には感慨深いものがあります。