米国の経済学者たちが、米銀全体の有価証券運用の評価損が自己資本とほぼ同レベルになったとの推計を発表しています。
ヘッジポジション(←金利スワップ等で含み損益を相殺)が考慮されていない点などの修正要素はあるものの、個別銀行で見た場合、時価ベースだと債務超過になっているところもあるのではと考えてしまいます。
さて、27日の日経電子版、
「債券バブルが生んだ米欧金融不安 規制強化なら邦銀打撃」を読みました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB260UU0W3A320C2000000/
文中の以下の箇所、
~「日本の銀行システムへの影響はどうか。邦銀も債券の含み損を抱えているが、さらに多額の株式含み益を持っており、現時点で経営不安の要素はない。」
ちょっと、楽観的なのでは?
大手第一地銀は確かにそうですが、それ以外の地銀や協同組織金融機関となると???。
トップ地銀以外となると、もともと株式の含み益が潤沢とはいえないところがほとんど、それでも海外金利などでリスクをとる。
さらに、協同組織金融機関の場合、多くは四半期決算の発表がないので実態がわかりません。
ただ協同組織金融機関は、預金保険で守られる範囲内の預金者が圧倒的多数。シリコンバレー銀行のような取り付けは起こらないでしょう。これは安心材料。
とはいえ、借り手に対する悪影響は気になります、時期が時期だけに。
コロナ関連融資の返済が始まるなか、有価証券ポートフォリオの含み損(←一部の米銀のように自己資本を超えることはないでしょうが)を抱えた状態で、バランスシート悪化が進行する事業者の資金繰りを支えていくことができるのでしょうか。
この数日、旅芸人ブログでは、連続赤字、過剰債務の中小小規模事業者に消極対応をとる地域金融機関が多いことに苦言を呈していますが、
こういう姿勢の金融機関は有価証券運用で評価損が拡大しようものなら、てこでも動かない。
困るのは、ポストコロナに向けて事業変革を進めようとするお客さまです。