🚩知財・無形資産GL ver2.0を読んでみて

PBR(株価純資産倍率)1倍を下回る上場企業(直近で1倍割れは約1800社)に対し、東証が株価水準を引き上げるための具体策の開示を求めるとの報道が話題になっていますが、

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB311FJ0R30C23A3000000/

震源地はこちら↓だと関係者の方から聞きました。

「知財・無形資産GL ver2.0」

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/pdf/v2_shiryo1.pdf

~2022 年 7 月時点で東証株価指数(TOPIX)500 構成銘柄のうち PBR1倍割れの企業の比率は 43%であり、米 S&P500・欧州ストックス 600 よりも極めて多い。また、海外投資家による日本株離れも指摘されている。今後、日本企業が国内外の資本・金融市場において十分に評価されるためには、知財・無形資産の投資・活用戦略やその開示を含む、企業価値向上に向けた取り組みが一層必要になると考えられる。こうした状況を踏まえ、企業及び投資家・金融機関は、相互の価値協創(対話・エンゲージメント等)を通じて、 思考構造のギャップを埋め、企業価値の創造に資する知財・無形資産の投資・活用を実行することが求められる。(エグゼクティブサマリー、p1より)

さて、

知財・無形資産GL ver2.0 は、付録を入れると百ページを越えるボリュームですが、エグゼクティブサマリー(4ページほどです)は読んでおきたいものです。

本文68ページの方はサラリと読んだのですが、冒頭の問題提起の箇所はズッシリ響きます。

~知財・無形資産の投資・活用は特に短期的には費用対効果が見えにくく、経営において「コスト」として認識されてしまう傾向がある。経営陣にとっては、相対的に投資回収の見込みが立ちやすい設備投資のような有形固定資産への投資の方が、その投資の是非を検討しやすく、結果として実施しやすい。また、多くの日本企業は黒字決算に過度にこだわり、営業利益や経常利益を赤字にしてまで知財・無形資産への投資の拠出を実施することを回避してきたとの指摘もある。こうした事情から、知財・無形資産への大胆な投資によって企業 価値や事業価値を高めることよりも、前例踏襲的な方針に基づいて、有形固定資産への投資に資金配分されることが多かったと考えられる。(知財・無形資産GL、p17)

~多くの日本企業においては、知財・無形資産を価値創造ストーリーにうまく位置付けるこ とができず、事業戦略・経営戦略として、知財・無形資産を活用して競争優位を獲得し、価値創造やキャッ シュフローの創出に結びつけるビジネスモデルを実現できてこなかった面も少なからずあった。このため、優れた知財・無形資産を持っていても、営業現場において安易な値下げに応じてしまうなど、知財・無形資産の活用によって価格決定力を強化し、高い利益率につなげられてこなかったと考えられる。(知財・無形資産GL、p18)

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