「貸し倒れ引当金、柔軟に 〜 金融庁、融資先の実態重視 」という記事が7月5日の日本経済新聞に掲載されました。
7月4日の有識者会議に伴う報道です。
画一的だった貸倒引当金の積み立て基準を、実態に即したものへと変え、実質的に将来の貸し倒れへの備えることが目的です。
「金融庁は検査・監督を過去の実績にもとづいた『後始末型』から、将来を見通して早めの対応を促す『予防型』にシフトしている。今回の見直しの議論もその一環だ。引き当て基準などを盛り込んだ金融検査マニュアルを2018年度末に廃止するのに伴い、当局と金融機関の新しい『目線』をつくるとの位置づけだ。」(同記事)
まさに3年間の金融行政で繰り返し発信された、「プリンシプルベース」と「フォワード・ルッキング」が、貸付債権の資産評価や引当金についてもキーワードとなるのです。
金融行政の本質を理解し、3年間の地域金融改革を正しく評価している金融機関にとっては大いに歓迎する動きです。
その一方で、プリンシプルベース、フォワード・ルッキングとは程遠い、ルールベース症候群の前例踏襲で思考停止の金融機関にとっては大変でしょう。
チェックリストにしか対応できない彼らには、ミニマムスタンダードとして検査マニュアルの資産査定/引当基準を残さざるを得ないという論点が出てくるかもしれません。
せっかく弾力的な対応により、より的確な引当を行うことができるのに勿体無いことです。
ルールベース症候群の思考停止族が、将来大きなツケを払うこととなる可能性を内包していることは重要な留意点です。
さらに付け加えるならば、ルールベース対応しかできない監査法人はいずれ生き残ることはできません。
7月4日の第1回 会議は欠席したのですが、2回目以降の議論でこういう点に注目しようと思っています。