「金融機関が事業者取引先のためにやるべきことは、当該事業者の『企業価値向上』、『事業キャッシュフローの改善』に尽きる。そのための資金面、経営面(本業支援を含む)のサポート。どのようなステージでもやることは同じである。そうすれば案件対応で終わってしまうトラバン、プロダクトアウトではなく真の企業ファイナンスになる。そういう仕事を続ければ金融機関の収益は自ずとついてくる。」
この思想は、2003年の「リレバンあり方検討会議」での論点と基本的に同じであり、2015年からの金融庁における中小地域金融改革の根幹部分だと思います。
このことに異論を唱える地域金融機関はほとんどないでしょう。
しかるに、それが金融機関の収益につながらないのは、各金融機関において、一部の「属人的」/「イベント的」な取り組みに留まっているからです。
この取り組みを「組織的継続的」に本気度をもって行うことで、顧客と金融機関のウイン-ウインの関係が構築され、共通価値の創造(CSV)となり、確実に金融機関の収益に跳ね返ってきます。
組織的継続的な取り組みを定着させるには、企業風土にメスを入れなければならないと、最近の旅芸人ブログで繰り返し発信していますが、
個別の営業現場の話を聞いて、最近、必要性を強く感じるのは、
【ルールベースでしか動くことができない現場の人間を、いかにしてプリンシプルベースで考えるようにさせ、行動させるか】
というところです。これは喫緊の課題です。
ルールベース/マニュアルでしか動けない人間にとって、冒頭のリレバン思想はハードルが高く、そういう人間が経営陣や本部を牛耳っている場合は論外ですが(さっさと交代していただきたい)、経営陣や本部が覚醒したとしても、ルールベース人間が現場の営業店のマネジメントを握ったままだと悲劇は続きます。
こういう人たちで営業店のマネジメント層を形成すること自体が危険であり、そうなると当該店舗は業績評価項目をプロダクトアウト的に勝手に曲解し、チェックリストにして穴埋めるだけのルールベースの「点取り虫集団」となります。
その一方で、お客さまのお役に立って、お客さまの企業価値向上というプリンシプルベースで考え行動している人たちは潰されます。
若手の早期退職者が多い店舗に共通するのは、このパターンです。
ルールベースでの現場マネジメントが存在することは、組織的継続的なリレバンを目指す金融機関にとって最大のリスク要因です。
コメント
見る方向を間違えなで欲しいと思います。
ことが起きるとその対応策はお客さんや現場で仕事をする社員でなく、別の上様を見てのものとなります。現場やお客さんに負担や不便を掛ける対応策を作って出来上がりになります。
自己防衛でなくお客さんや現場の社員が動きやすい対応策を真剣に考えなければいけません!