CSVバンキング。
10月4日のブログで、心ない地域金融機関が寄ってたかって、プロダクトアウト型商品サービスへとおとしめた「汚れきったリレバン」に決別し、改めて「お客様との共通価値の創造を目指す銀行業務」に軸を戻そうという趣旨でこの言葉を提唱しました。
Creating Shared Value Banking です。
このCSVBについて、八代アソシエイツの八代さんが、さっそく経典をまとめてくれました。
同社 hp にアップされています。
http://www.yatsushiro.co.jp
プロダクトアウト症候群の方には不要でしょうが、真の地域密着型金融を目指そうと思う方には必読の経典です。
コメント
これまで私は、リレバンとはその名の通り、お客様や地域やコミュニティとのリレーションを組織価値とする金融のことだと、職員には説明してまいりました。従って、その組織価値を未来に向けて育てていくのだと。目に見えないリレーションキャピタルこそが重要であり、それがサステナブルな繁栄に不可欠だと考えています。ブログを拝見して、私の定義が皆さんと違っていたのかなと思いました。何れにしても、言葉を再定義するのなら、新たな言葉のほうが良いのでしょうね。
リレバン→本業支援→コンサルティングという流れで、ほとんどの金融機関は「ソリューション メニューリスト」によるソリューション商品サービスの押し込むだけ、手数料狙いの販売業者になりさがり、それを顧客の課題解決だと嘯いています。結局はプロダクトアウトです。
ソリューションメニューは、あくまでもお客さまの課題に応えるための手段であり、課題に応えるためには日々のリレーションシップの中で築かれた信頼関係が大前提だと思います。そうすれば自ずと金融機関の収益にも跳ね返ってくる。共通価値の創造ということですね。
新田理事長のような経営者は残念ながらマイノリティです。困ったものです。
新田さんの考えは、きちんとCSVBを包含する定義なのですが、目に見えないリレーションキャピタルを「見える化」することをあえて避け続けるのが多くの地域金融機関の実態と考えます。だから新田さんの定義の通りにはなっていない「汚れリレバン」なのです。
新田さんの名著からも読み手には十分伝わりますし、相当視察なども来られたのではないでしょうか?
しかし、新田さんの組織を目の当たりにした地域金融機関の多くは、自らが新田さんの定義通りにはできない言い訳を見つけることを始めます。「人口減少やマイナス金利の影響で、時間のかかるようなことをやる余裕はない」、「(金融排除の結果)成長に地域金融機関が本気でコミットせざるを得ないような取引先事業者が少ない」、「個人ローン・預かり資産ばかりやらせてきたため、事業性のわからない行職員ばかり増えて、事業者に事業運営方法を改善するようなアドバイスは無理」。
かくして、リレバンやっているように見える都合の良い先数・件数・残高の「見える化」にみな勤しむことになり、新田さんの定義とは異なるものが定着してしまいました。
八代さん、
そう考えると、金融庁がいう金融仲介のKPIの中にも、おかしなものが多いですね。リレバンの本質が腹に落ちていない金融庁や財務局の人間 (少なくない、残念ながら) が、このKPIで間違ったモニタリングをするリスクがあります。
ときに触れて、この点を問題提起したいと思います。
コメントありがとうございます。
私は最近、地域金融機関の方向けの講演が増えてきました。その中で思うことは、多くの皆さんは本音と建前があり、本音は収益計数が組織価値だと考えているように感じます。私は価値の多様性を大切に思いますが、収益計数は結果でしかなく、目的とする組織価値にはなり得ません。自らのリレーションキャピタルが毀損し続けていることから眼を背けていては、建前をどう替えたところで同じだとすら思えてしまうのです。