昨今、地域金融機関の経営幹部から「ヒトの問題」につき相談を受けることが増えてきました。
3月22日のダイヤモンドオンライン、
「銀行業界が人的資本を今こそ強化するべき理由とは」
https://diamond.jp/articles/-/299561
を読むようにアドバイスしています。
橋本卓典さんの論稿ですが、東和銀行で一緒に社外取締役の仕事をしている大西利佳子さん(コトラ社長)も登場します。
キーワードはISO30414(人的資本開示)。
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~ISO30414とは18年12月、ISO(国際標準化機構)が公表した人的資本に関する情報開示のガイドラインだ。定められている測定指標について過去と現在の数値を比較することで、人的資本に対する施策の改善傾向をつかむことができる。測定指標は、コンプライアンス、コスト(採用コストなど)、ダイバーシティー、管理職などのリーダーシップ、組織文化(従業員の意識や定着率など)、健康と安全(労働災害の発生件数など)、生産性、採用・異動・離職(人事プロセスの適正性など)、従業員個々のスキルと能力、後継者計画、労働力(従業員数など)だ。(←橋本論稿より)
~いまや日本でも、従業員、企業ともに終身雇用の概念は薄れている。(ー中略ー) 企業は従業員に対し、スキルアップができる環境や、能力を十分に発揮できる場を提供することができるか。従業員は企業に対し、新しいスキルや、適切な労働力を提供して業績向上に貢献することができるか――。従業員と企業には、そんなwin-winの関係構築が求められている。では銀行の人材戦略はどうか。銀行も例に漏れず、リアル店舗への来店客の減少など、ビジネスモデルが激変している業態だ。ならば、人的資本の強化は銀行業界こそ取り組まなければならない課題のはずである。しかし、だ。銀行の経営陣を見てみよう。CFO(最高財務責任者)は取締役であるのが一般的だが、CHRO(最高人事責任者)が取締役であるケースはほとんどない。この事実を一つ取っても、銀行において人材戦略は軽視されたままだ。(←橋本論稿より)
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「CHROが取締役であるケースはほとんどない」との現実の中で、千葉銀行で取締役CHROの任にある淡路さんと金融庁銀行二課長の新発田さんとの対談(前編)
=「法人営業は男の仕事」は限界、昭和モデル脱却を=
が12日の日経フィナンシャルに掲載されています。
https://financial.nikkei.com/article/DGXZQOUB228RQ0S2A320C2000000?s=1
新発田さん、淡路さんには昨年のジンテックセミナー「両利きの地域金融」で登壇いただいています。
コメント
所謂「日本的経営」も、こういった人的資本を長期的に育てる、という意味合いが本来的にはあったはずですよね。
口では「日本的経営」を言いながら、実際にはずっと人的資本を飼殺しにしてきて「スキルアップしない人材が滞留しているから、離職率が低位安定している」という状況を作出しておきながら、責任感を微塵も感じていない旧経営陣には呆れかえります。
「ジョブ型雇用」が注目されていますが、ジョブ型だと、新卒者等がどうやってスキル形成するのかが問題として指摘されていますが、従来の日本的経営が制度外で行っていた人的資本育成を制度的にシステマチックに取り込んで、企業としての従業員への魅力を高めていくことが、生き残り戦略のキーの一つになるのかと。
ありがとうございます。大リーグでは、最多勝投手はまったく無意味です。9対8で勝ち続けたピッチャーより、0対1で負け続けたピッチャーが評価されます。防御率です。しかも、エラーによる失点は防御率から控除されます。
打率もあまり意味がありません。3割バッターとかあまり意味がありません。2割8分でも出塁率の方が評価されます。
野手は守備範囲や肩の強さが評価されます。
結果しか見ない評価は結局、人の行動を変え、組織を変えてしまいます。
目に見えない人的資本。計測しにくいから無視されてきた人的資本。
ようやく、日本も気づき始めました。計測できない世界の重要性は、2018年捨て銀3でしつこく書いたのですが、やっとですね。4~5年遅れてます。