レイジーバンクの詭弁

「地元の経済状況が厳しいので商売にならない、だから他地域 (大都市部など) で稼ぐ、有価証券運用で稼ぐ。収益力をつけて体力をつけて、しかるのちに地元事業者に還元する」

ときどき聞くフレーズです。

隣の芝生は青く見えるのかもしれませんが、隣の庭においても地元の金融機関は必死で頑張っています。そんなに儲かるのでしょうか。

優良先は金利競争が激化しているだろうし、利ざやがあるであろう厳しい先はよそ者が徒手空拳で乗り込んで収益が上がるとはとても思えません。大都市部での融資は、ほとんどの場合ぶら下がり融資だし、ぶら下がりは利ざやが少ないと相場が決まっています。

一方、有価証券運用は打ち出の小槌ではありませんし、外貨運用ともなれば資金調達のリスクも出てきます。

いずれにしても、こういうところで稼いで、しかるのちにその利益を地元顧客に還元するなどという芸当は簡単にできることではありません。

地元の事業者に対し、粛々とリレバンをやるよりも、はるかに難易度が高いのはないでしょうか。

こういうレイジーバンクの詭弁と、「合併統合で余力ができたら、地元顧客に還元する」という定番の論法も非常に似ているとワタシは考えています。失礼ながら言葉だけでは信用するわけにはいきません。

そういうのならば、地元還元の「行程管理」や「可視化」をしっかりお願いしたいものです。それこそが説明責任ではないでしょうか。


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コメント

  1. 路地裏の詩人 より:

    まさしく多くの地域金融機関経営の実像かもしれません。

    見つめているの、ワンイヤールールの見栄え、横並び思考、アリバイ作り。こんな世界観を突破するために内から、外からやらなければならないこと、出来ることは数多くあります。

    今朝の新聞でSDGsアワードの記事で「しがはぶ」の記事がありました。遠く離れた所なので直接知ることは出来ないのですが、記事の内容であれば広がりを期待します。平成15年のアクションプログラムの金融審ワーキングで地銀・第二地銀・信金の代表から事例報告がありましたが、「しがはぶ」の金融機関だったことを記憶しています。

  2. ミザール より:

     地域金融機関特に協同組織金融機関は、地域の中に生かされている組織です。

     地域が厳しければそこで生きる企業・人々と同じく厳しさを感じ、その企業・人々の悩みの解決にこたえることが地域金融機関の「生業」です。

     「ビジネスモデル」という言葉が盛んに言われるようになってから、どうもこの「生業」意識が消え、利益を出すことだけを目的に経営しているのではないだろうか。この利益を目的とする窮屈感から辞める社員・職員が増加しているのではないだろうか。

     厳しい地域から逃げることなく、社員職員が世のため人のためと思って自主的に動くことができる組織環境づくりをすることが、地域金融機関経営者に今一番求められていると私は思っております。利益は活動の結果生じるものです。まず利益ありきでは、おかしな仕事してしまうのではないですか。

  3. 新田信行 より:

    皆さんのおっしゃる通り、地域金融機関の本業とは、地元で共通価値を創造していくこと以外にありません。それと異なるビジネスモデルは、投資銀行かノンバンクのものです。オーバーバンキングどころか、本来の地域金融機関は明らかに不足しています。