経営陣に本気度がないとヒューマンアセットは崩壊する

「地域のためにと一所懸命 頑張っていた中堅職員や若手職員がどんどん辞める。残念だ。」

昨日もこのような話を聞きました。

辛いですね。

経営に本気度がないとわかると、力のある人間はどんどんやめるものです。

ワタシが新卒から30代半ばまで働いていた邦銀は、インベストメントバンキング業務でそれなりにフロントランナーの一角を占めていたと自負していたのですが、プラザ合意以降に外資系金融機関が本格的に日本に進出してくると劣勢がはっきりし、外資系金融機関との戦いを経営が諦めた (としか思えなかった) 途端に、若くてイキの良い人間が大量に辞職しました。

インベストメントバンキング業務のように優劣が明確になり、その差が埋めきれなくなった業務は別にして、地域金融の分野ではまだまだ勝負がついたわけではありません。

AIフィンテックを駆使した異業種とは全面対決せずとも、協調や協業の可能性もあり、また彼らが参入することが非常に難しい世界もあります。

経営陣の創意工夫、本気度次第で、十分に勝ち残れると思うのです。

そして、それを実践に落とし込むためには、やる気のあるヒューマンアセットが必須です。

創意工夫もなく本気度も感じられない経営陣と、やる気のある中堅若手職員、とを天秤にかければ、どちらを残すべきか。

答えは明らかですね。

だからこそ無能な経営陣を退陣させるためのガバナンスは必須なのです。


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コメント

  1. 京都信金、増田寿幸 より:

    中途退職率は地域金融の経営品質水準を測る重要なKPIであり多胡さんの主張に賛成します。さらに加えるなら、退陣させる仕組みに加えて、有能な経営者を確保する方策が必要です。ともすればトップに就任することを人生のゴールと勘違いしてか、そこで成長を止めてしまうトップが散見されます。だから彼らにトップ就任後により一層勉強させる工夫がいると思います。若い人にピッチトークを求めるよりも地域金融トップを集めて経営ビジョンを発表させる(ただし事前原稿なしベース)ように制度化してはどうでしょうか。多胡さんがしばしば強調されるように地域金融の質確保はトップの資質と向上意欲確保が喫緊の課題だと思います。

  2. 橋本卓典 より:

    ①「若年層退職比率」は極めて重要です。投信の回転売買が負担になりすぎて、大手地銀でも新卒の2割が辞めるところもあったとか。

    ②私は増田さんのご意見に近いと思うのですが、支店長会議での「スピーチ」を録画し、金融庁として把握すべきだと思います。一発で、経営者の力量が分かります。同様に、次期トップ候補のプレゼン動画をトップ選定プロセスに反映すべきだと思います。スピーチで伝わる熱量、迫力こそ、これまで計測してこなかった重要な個人の資質です。

    ③「お客様の評価度合い」と、金融機関のビジネスモデルの健全性は、極めて高い相関性があります。金融庁は把握していると思います。

    ①、②、③は、これまで金融業界では、いずれも「計測してこなかった世界」に属するものです。定性要素と単純に括るのはいかがなものか。止まらない内部告発を鑑みるに、これまでの定量的な要素より遥かに重要です。

  3. 新田信行 より:

    お二人に共感いたします。

    企業の目利きで、経営者は成長しようとしているか?、職員の採用、退職、うつ病の状況はどうか?を最重要ポイントと考えていますが、当然金融機関の経営においては尚更です。

    人の成長は、能力の成長〈横軸〉と心の成長〈縦軸〉がありますが、成長の意欲の無くなった経営者は、直ちに退陣すべきでしょう。