7月11日に開催された経済産業省・産業資金課が主催する「ローカルベンチマーク活用戦略会議」(第12回)、
その議事録が公表されています。
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/local_bench/pdf/012_gijiyoshi.pdf
今回のテーマは、ポストコロナの事業変革、ならびにコロナ関連融資で膨張した債務問題に、ローカルベンチマークをいかに活用するか。
ワタシはゼロゼロ融資等で地域における最大の債務者となった信用保証協会こそが、ローカルベンチマークを駆使して事業者との対話を進めるべきとの趣旨で意見を述べました。
議事録の該当箇所は下記の通り。6~7ページです。
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・去年の10月に大阪で開催した、森下先生の知的資産セミナーに参加したときの印象は、事業者は事業承継や従業員との意識共有でこれを使っているものの、金融機関のほうが全く反応してこないという残念なイメージでした。しかし、先月、私が登壇した水野先生の水野塾でも聞きましたが、金融機関側がローカルベンチマークというものを今まで皆さんおっしゃったように捉える動きが出てきて、企業と金融機関のギャップが埋まってきたというのが印象です。
地域によるばらつきが問題だと思います。ローカルベンチマークもそうですが、近畿地区は財務局、経済産業局中心に一生懸命取り組んでいるが、そうでない地域もあります。知的資産経営もスタートが兵庫県で、東は動きが鈍く、西高東低です。そういうばらつきをどうしたら解消できるかというのが大事だと思っています。
今年度のローカルベンチマークの活用は、ポストコロナに向けた事業変革、それからゼロゼロ融資等による過剰債務問題、これをどのようにロカベンに紐づけて解決していくかとい うところがポイントだと思います。今、地域で最大の与信リスクを抱えているのは実は信用保証協会です。それぞれの金融機関によりリスクテイクの度合いの違いがあるものの、100%保証の急増で信用保証協会が地域最大のリスクを抱えていることは間違いありません。7月 6日の「クローズアップ現代」でも大阪信用保証協会のポストコロナに向けた取組が出ていました。それから、岐阜の信用保証協会というのは、これは県のほうですが、ポストコロナを見据えた経営支援業務にロカベンをうまく活用しているわけです。ところが、信用保証協会によっては、そういう取り組みをやっていないところが少なからずあります。二極化現象です。この二極化問題を片づけない限りはポストコロナの事業変革や過剰債務問題は片付かない。このばらつきを解消しなければいけない。既にやっている大阪や岐阜県の信用保証協会は、ロカベンを使ったり、自分のツールを使って経営支援を一所懸命やっているものの、 掛け声だけで具体的取組が見えないような信用保証協会が多い。こういう信用保証協会こそがロカベンを使うべきではないか、要するに最大の与信リスクの担い手になっている保証協会の、特に動きの鈍いところがロカベンを使う、これがポイントだと思っています。
DX、SDGsは、事業変革支援の中におのずと組み込まれるので、当然これはロカベンの 項目の中に書き込まれる。書き込まれなかったら事業変革支援にならない。そのように考えています。
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ちなみに、
11~12ページにも、信用保証協会のローカルベンチマークの活用に関する言及があります。
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ローカルベンチマーク等を活用した経営支援については、各地域の保証協会において、積極的に対応しているところです。例えば、保証申込みにおいてローカルベンチマークの分析結果をお配りしたり、期中においては、決算書をいただくような場面に事業者にお渡しするなど、あらゆる機会をとらまえて、こういうツールがあるということを中小企業の皆様にお知らせする取組をしているというところです。そこからまたさらに掘り下げて、事業者に広 く周知、啓蒙していかなければならないと考えています。
(↑議事録より)
コメント
ゼロゼロ融資による過剰債務問題は喫緊の課題だと思います。今でこそ金利は低く抑えられていますが、これから日銀が異次元緩和の出口に向かうと、その脆弱性が一気に露呈するかと。問題共有を進めて、横の繋がりを広げ、ポスコロに向けた取組を進めるべきですね。
金融機関等はそういう状況になると、収益が圧迫されるはずなので、その点に危機感を抱かないのは、不可解です。いざとなれば金利の引き上げを依頼すれば、どちらにせよ保証が付いているのだから、という腹積もりなのかもしれませんが、業績悪化の地域経済への丸投げは、さらなる運用難として跳ね返ってくるはずです。
信用保証協会の取組にバラツキがあるのは、協会で頑張っている人達に水をさす訳ではありませんが、或いはインセンティブが無い、ということはあるのかも。