成長戦略実行計画

「地域内でシェアが高まる統合であっても、独禁法適用外による地域銀行の再編を認める。ただし10年間の時限措置。」

このことが、“未来投資会議”の議論を踏まえ、「成長戦略実行計画」 (6月21日付) に盛り込まれました。

ここで書かれた独禁法適用除外の 5つの申請要件は以下の通りです。

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① 人口減少等により、地域において中小企業等の顧客向け貸出・手数料事業に対する持続的な需要の減少が見込まれる状況にあり、その結果、地銀が将来にわたって当該地域における当該事業の提供を持続的に行うことが困難となるおそれのある地域であること。

② 申請者の地銀が継続的に、当該事業からの収益で、当該事業のネットワークを持続するための経費等を賄えないこと。

③ 経営統合により相当の経営改善や機能維持が認められること。

④ 上記③の結果生じる余力に応じた地域経済への貢献が見込まれること。

⑤ 経営統合が (競争を減らしても) 利用者 (一般消費者) の利益に資すること。

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①~④は主に金融庁、⑤は主に公正取引委員会が審査を行い、いずれの要件も満たされる場合に、適用除外の認可を行うこととなると書かれています。

①②③は良いとして、④と⑤の判定は結構難しいのではというのが、ワタシの第一印象です。

まず ④ですが、銀行の収益環境が厳しい中、余力が銀行のコスト削減に終わってしまわぬよう、いかに歯止めをかけるか?、がポイントになるでしょう。

⑤については、効率の悪い僻地の顧客、業況が厳しく経営改善や事業再生が必要な顧客といった層にとって、経営統合によって金融サービスの低下が起こらないかどうか (つまり金融排除ですね)、を十分に見極める必要があるでしょう。

今後の展開を注視します。

 

 

 

 

 

 

 


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コメント

  1. ミザール より:

    時限措置対応ということから先送り対応にすぎないと思います。未来投資会議は地銀統合促進で地域インフラの再生を図るとしていますが、たぶん5年先には更なる広域での地銀再編となると思います。今地銀が取るべき対応はダウンサイジングしかありません。そして手の回らない地域の取引先については協同組織金融機関に任せるべきです。今回の時限措置対応は一部の既得権者を守るための措置にすぎないと私には思えてしまいます。

     未来投資会議はどのように地域を成長させたいのか、そこをまず明確にする必要があります。