~金融庁は、地域銀行の持ち株会社に対するモニタリングを強化する。有力地方銀行を中心に、事業領域を拡大する狙いから持ち株会社体制に移行する動きが相次いでいるため。実態を伴わない「空き箱」にならず、グループ全体の経営管理機能を発揮できているかを確認したい考えだ。(ニッキンオンライン、10/7)
金融庁の意図は経営管理機能にあるように読み取れますが、これとは少々違う角度に立って、ここにある「空き箱」と類似した表現を旅芸人は最近よく使います。
規制緩和で地域銀行の事業範囲は拡大しましたが、この一年を見ていると、「まずは箱作り」から入っていくケースが多いように思います。
手堅く保守的な地方銀行のことですから、実績を積み上げて手応えを感じたら分社化、持株会社という流れにいくのかと思いきや、箱作りへと一足飛びです。
今回はやけに積極的だな、と思います。
それだけ銀行業務の収益環境が厳しいのだ、
という声が大きいのですが、銀行業務の方はといえば、目先の利益を追うがあまり、顧客との信頼関係が脆弱になり、業務の担い手たる現場の行員の早期退職に歯止めがかかりません。
長い歴史の中で積み上げた銀行業務での顧客接点がガタついた状況では、規制緩和による業務の多角化も功を奏するとは思えないのですが、、、
まずはバンキングの再構築です。
「リスクを取らない、考えない、志の低い」、こういう安易で経営理念を踏み外したバンキングの正常化こそが最優先課題です。
バンキングに磨きをかけた金融機関は、規制緩和で隣の青い芝に目が眩んで、箱づくりにせっせと励む競争相手を尻目に、着々と成果を上げていくのではないでしょうか。