ゼロゼロ融資の返済が本格化するなか、中小小規模事業者を支援する上での、2つの重要な施策が3月に公表されました。
金融庁が発表した「業種別支援の着眼点」には、地域金融機関の現場の人たちがお客さまの事業支援をする上での勘所が非常にわかりやすく書かれています。
もう一つは、内閣府が公表した「知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及び ガバナンスに関するガイドライン (略称→知財・無形資産ガバナンスGL) Ver.2.0」。有形資産に乏しい小規模事業者や新規創業者にとって知財・無形資産は大事な命綱です。
マスメディアが取り上げてないせいか(→まったくもって理由がわからない)、地域金融機関の人たちと話をしていると、「業種別支援の着眼点」にしても、「知財・無形資産ガバナンスGL」にしても、浸透度はまだまだです。
地域金融機関は口を揃えて、「伴走支援」「課題解決」を宣うのですが、「業種別支援の着眼点」や「知財・無形資産ガバナンスGL」への興味が薄いようだと、どこまで本気度があるのかと思ってしまいます。
さらに、
ゼロゼロ融資等の返済に向けて、地域金融機関の事業者支援の真価が問われているのですが、多くの金融機関の現場の行動はというと金融検査マニュアル時代のまま。そのことに驚きを越えて呆れています。
検査マニュアルが廃止となって3年半、多くの地域金融機関は事業者の業況が厳しくなると(それが一過性のものであれ、構造的なものであれ)、手のひら返しでソッポを向く状況は変わっていません。
バランスシートの呪縛を解いて(→債務償還年数が長い、過剰債務といった理由により、キャッシュフローを見込める事業等にもニューマネーを出せない弊害を打破)、事業者のチャレンジを後押しすることは、金融検査マニュアル廃止の狙いのひとつであり、コロナ禍でその効力が出るものと考えていましたが、期待外れに終わっています。
地域金融機関には金融検査マニュアル以降のあるべき融資姿勢、さらにはその根底にすべき経営のあり方がしっかりと書き込まれた「融資ディスカッションペーパー」(正式名称は「検査マニュアル廃止後の融資に関する検査・監督の考え方と進め方」)を改めて熟読し、その思想を実践に移してもらいたいものです。
「融資ディスカッションペーパー」、「業種別支援の着眼点」、「知財・無形資産ガバナンスGL」、
これら3点セットの内容を十分消化した上で、ゼロゼロ融資等の返済本格化に対応し、お客さまのポストコロナに向けた事業変革を行うのは今です。
3点セットを軽視し、「伴走支援」「課題解決」という耳触りの良い言葉を並べるだけではお客さまは信用してくれません。