数ヶ月前までは、地域金融機関の破綻の引き鉄を引くのは、不良債権か有価証券運用の失敗だろうと思われていましたが、
最近のネット銀行の勢いや米国の動向などを見ると、「預金流出」で金融機関の組織の維持ができなくなるのではとの懸念が拡大してきました。
もうひとつの懸念材料は「人の流出」
こちらの方は深く進行しているように感じますが、経営者に問題のある地域金融機関ではもはや取り返しのつかない状況になっています。
~経営トップのパワハラで早期退職が増加。支店スタッフの人数が揃えられず、渉外担当者を集中するセンター機能を設置した。
~支店の人数が足りず、支店長や副支店長がテラーや出納の仕事をしている。
~あまりに離職者が多すぎて、店舗網が維持できなくなり、大規模な店舗の統廃合を行う。
思考停止のプロダクトアウト尻叩き人間が経営陣に居座るかぎり、この流れは止まりません。彼らには責任を感じて辞めるような潔さもないから始末が悪い。奈落の底へ一直線。
こういう金融機関は社外役員もイエスマン、イエスウーマン、揃い。牽制機能はどこに、、
さて、
金融機関がなくなって困るのは地域のお客さまです。
地域の事業者は借入のみならず、地元の協同組織金融機関の出資者であり、地元地銀の株主でもあります。
プロダクトアウト尻叩きしかできないパワハラ人間や、環境変化に対応できない思考停止人間に、地域の存亡を任せるわけにはいきません。
この惨状に地域のお客さまは取引金融機関に薄々気づいているようですが、この問題を”地域全体に知らしめる”立ち位置にある、地元メディアの発信力が問われています。
信用不安を煽るのではなく、金融機関の経営者に対し、責任と矜持を問いかける報道が求められます。
こういう金融機関は広告宣伝料を支払う余力もありませんから、忖度する必要もないんじゃないですか、失礼ながら。
コメント
「預金流出で金融機関が潰れるかもしれない。」
そんな経験を実際しました。北海道拓殖銀行や三洋証券、大和証券が破綻した時代にです。
バブル崩壊後の不良債権処理を粛々と進めていた時に、本当に小さなデマが徐々に大きくなり津波のように押し寄せ、取り付けさながらの状況になりました。
多くの人々が我先にと預金を解約して現金を持って帰ろうとしているときに、地元の経営者の一人が店頭で「支店長、預金しに来たぞ」と解約に来た皆に聞こえるように叫び預金をしてくれました。
また、お客様が解約したお金を持って郵便局に預金をしに行ったら、その特定郵便局の局長さんは「この封紙がついているお金は今お預かりできません」と断ってくれたと言います。
解約に来られたお客様も多くいらっしゃいましたが、その一方「この金融機関がこの地域になければならない」と思ってくれていた人も多くいらっしゃったのだと思います。
そして、「この金融機関」は生き残りました。
銀行は預金流出で潰れるかもしれない、でも地域のお客様の信頼さえあればお客様に支えられて潰れることはないと悟った瞬間でした。
金融機関、特に地域金融機関の経営者、職員の方々には、今一度まず第一に地域のためになる経営をしているかを考えて頂きたいと思います。
それを愚直に進めれば潰れることはないですし、結果として大きな成長が待っていると確信しています。
人がいらないと思ったら、実際そうなります。人が脱兎の如くに辞め始めたら、しかるべくして、しかるべき結果になります。