本日の日経電子版、〜山口FGの銀行員、30代で社長 脱「銀行らしさ」で成長、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC274I80X20C23A9000000/
〜椋梨社長は起用の理由を「FGの新規事業における中核的存在に成長させるために既成概念にとらわれない柔軟な発想が必要だった。松浦さんは若手ならではの柔軟かつ革新的な発想力と行動力を兼ね備えている」と説明する。(中略) 山口FGでは松浦さん以外にも、地方創生コンサルの「YMFG ZONEプラニング」(同市)と「地域商社やまぐち」(同)、地域特化型の福利厚生を手がける「イネサス」というFG傘下各社の社長に30〜40代が就いている。(記事より)
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グループ傘下企業のトップに30〜40代の社員を起用するという椋梨さんの説明には、強く共感します。
運用会社のトップや年金基金の理事長がその道のプロでなくて良いのか、との議論が沸騰し、拍手喝采しているのですが、地銀グループの子会社トップも銀行本体の役員などの天下り“指定席”などというのはお客さまに対して失礼極まりないと思います。
信用保証協会のトップもそうですが、天下りイコールノーではなく、ようは人の問題なのですが、地銀グループ子会社のトップについても同じです。
ただ、山口フィナンシャルグループのように新しいフィールドにチャレンジする場合には、柔軟な発想と実行力のある若い世代でなければならないと思います。
そうなると、「その上の世代はどうするのだ」ということになりますが、
地銀の新しい業務は地銀が銀行業務で長年培ったバンキングに立脚したものであり、そこでしっかりと役割を果たすことです。強いバンキング基盤があってこその新しい業務であることは言うまでもありません。
昨今、地域金融機関のバンキングの現場は、プロダクトアウトで近視眼的な収益ありき、顧客本位とはとてもいえるような状態ではありません。トップ地銀では、優越的地位をちらつかせるバンキングがいまだに横行していることも否定できません。
顧客本位、顧客との共通価値を目指すべく、現場を再構築し、バンキングを究めるのが、この世代の仕事ではないでしょうか。神輿に乗っかってふんぞり返っている場合じゃありません。
コロナ禍、コストアップ、ヒト不足。中小小規模事業者の存亡の危機のときに、地域金融機関のバンキングが本来の役割を果たさなくて、存在価値があるのでしょうか。
コメント
新規事業分野での経営に既存概念にとらわれない若い人材を入れるのは、銀行本体の役員の横滑りに比べては数段に良い選択であると思います。
ただ、以下の2点に不安感を覚えます。
一つは、私の経験では(山口FGではそうではないかもしれませんが)、銀行に入行し10年~20年経った人材は、結構どっぷりと銀行業の既成概念にとらわれているケースが多いということです。特に、銀行内でその年代のエースであればあるほどその傾向は強いです。
そしてもう一つは、関連会社の経営の自由度を銀行本体がどれだけ担保してあげられるかです。結構商社のグループ会社などは経営の自由度が高いですが、銀行の場合は銀行本体の関与がきつく既成概念にとらわれない経営をしようとしてもなかなか思うようにいきません。(私の実体験からです)
山口FGの場合、若い人材は既成概念にとらわれない良い人材が選定されていると思いますが、その人材を活かしきるためには銀行本体の姿勢が今後問われると思います。