今週に入り地銀決算の報道が続いています。
5月15日のブログにも書きましたが、今回は前期の決算数値ではなく、今季の業績見通し、とくにコロナ禍の貸倒引当金に注目しています。
今後の展開が不透明な中、貸倒引当金を算出することの難しさは分かるのですが、融資先とのリレーションシップの深度、資金繰り支援・本業支援(事業再生を含む)の姿勢が貸倒引当金の予想値に反映されると思っています。
昨日のブログに書いた通り、コロナ対応の姿勢は二極化していますが、この姿勢が引当金予想の話の中にあぶり出されるということですね。
さて、
某新聞によれば、地域銀行のトップの発言の中に次のようなものもありました。
「与信コストが出るような貸し方はしない」
イヤハヤ。
コメント
セーフチィ―ネット5号で保証協会が支援にGOサインを出していながら、(100%保証でないから・・・ということでしょう)メイン銀行から拒否されたお話を支援者からお聞きました。
先の震災で壊滅的な被害(業種柄保証や支援は十分ではなかったようです)を受けたものの、顧客の要望もあり、文字通り身を削って必死に経営をつづけ、ようやく再生の道筋が見えたところのようです。休業要請に真摯に応じた結果の資金繰りの窮地です。尚、当該の会社は、この度5号で保証対象業種に認められた業種になります。
「与信コストが出るような貸し方はしない」と仰った銀行とは違うようですが、2極化が明確な形で見えてきたような気がします。
金融当局のモニタリングに止まらず、(表現は適切ではありませんが)社会的な監視の仕組みが必要となっているような気がしています。
私も今朝、某新聞を読み愕然としました。怒りで新聞を真っ二つに破りそうになりました。
これは果たして一体誰に向けたコメントなのでしょうか。少なくとも当該行の資本と信用を一緒に築き上げてきた筈の地域顧客に向けたものではないと思いますが…
与信コストが出るような貸し方はしない」
本日のブログで取り上げた、某新聞に掲載されたX銀行トップの発言の意図を考えてみました。
与信コストの発生を防ぐ(ミニマイズする)には、
①顧客からの返済条件緩和を受諾せず、ニューマネーは信用保証協会の全額保証しかやらない、
②顧客の事業実態をしっかりと把握し、財務と事業の両面からの伴走支援を行うことで与信コストを極小化する、
が考えられます。
②はリレーションシップバンキング(リレバン)そのものですが、2003年のリレバン機能強化が始まって以来、X銀行のビジネスモデルはリレバンと対局にありました。
ゆえに、X銀行トップの発言は①ということなのでしょう。
だとしたら、地域銀行トップの発言としてあるまじきものと判断せざるを得ません。