🚩もはや過去の延長線上にあらず

今週、多くの地域銀行の株主総会が実施され、新しい経営体制がスタートしています。

本年は例年にも増して、トップの交代がありましたが、閉塞する地元経済の再生に向けた「知行同一」の挑戦者たちが登場しています。

本日の日経地方版では、山口FGの椋梨社長と北国銀行の杖村頭取のインタビュー記事が掲載されています。

椋梨さんのインタビューの表題は「地方創生の新事業、倍増ペース」、「社員の起業家精神刺激カギ 」。

~地方創生は、どうすれば地域を活性化できるのか正解がわからない中で挑戦するしかなく、社員にも起業家精神が求められる。だが「前例踏襲やリスクを極力排除する銀行文化とは真逆」(椋梨氏)であり、銀行文化が支配的な組織では容易ではない。(中略) 今回の組織改編では全体を金融ユニットと地域共創ユニットに分け、後者では金融とは異なるマネジメント手法を採用する。(6/26日経中国版)

杖村さんの方は「クラウド化でIT経費3割削減」 との表題になっていますが、単なるコスト削減の話ではありません。

~24年3月期に連結純利益を100億円とする目標を達成するには、コスト削減とあわせてコンサルティングなどの手数料ビジネスを拡大できるかが焦点になる。クラウド化は手数料ビジネス拡大にも役立つ。勘定系システムに蓄積した取引情報を人工知能(AI)などで分析し、コンサルの品質を高める。7月以降、行員のパソコンから情報にアクセスできるようシステムを更新する。課題解決を入り口に融資拡大を狙う。(6/26日経北陸版)

このインタビュー記事、二人の経営トップの頭の中にある経営戦略の片鱗が出ているに過ぎないと思われるのですが、従来の地域銀行の新トップのインタビュー記事とはまったく異なる内容です。

金融庁は今事務年度、地域金融の規制緩和を進めてきました。株式市場も(SDGsの動きにもあるように)短期的な収益を求める姿勢から時間軸を容認する流れが出てきました。

これらによって、地域銀行は創意工夫により顧客と共通価値創造型の新たなビジネスモデルを構築できる環境が整備されてきました。

まさに経営者の力量が問われます。

旧態依然の地域金融システムにメスを入れて、新しいチャレンジができるのは、本来しがらみの少ない追う立場の二番手以下の金融機関なのですが、地域のトップバンクが率先して動いていることに敬意を表します。

蛇足ながら。二番手以下で竦んでいるだけの地域銀行の経営陣に一言。「自分たちが置かれている状態がわかっているのか」

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