題名: コロナ禍における地域金融のあるべき姿を考える
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- 地域金融・中小企業金融のポイント(真のリレーションシップバンキングに向けて);
①銀行法第一条から;「国民経済の健全な発展に資することを目的とする」、国民経済→地域経済
②新陳代謝というが既存事業者の再成長・第二創業のウエイトが圧倒的。経営改善支援・事業再生支援がポイント(貸し先が悪くなったら取り立て回収の逃げていたレイジーバンクには難易度が高い)。このことはコロナ禍で鮮明になる。
③リレーションシップバンキングとトランザクションバンキング
④トランザクションバンキング・プロダクトアウト型ビジネスモデルの終焉、リレバン以外に選択肢なし、究極のリレバンは経営改善支援・事業再生支援、リレバンの面的展開が地方創生
⑤リレバンの勘所;ヒューマン・アセット、リレーションシップ・キャピタル、時間軸
⑥リレバンは儲からないというが、リレバンで成果の出ている金融機関には特徴がある
⑦ノルマ廃止の必然性
⑧ミドルリスク層にどう取り組むか
⑨地域金融エコシステム(役割分担)
⑩地域金融機関にとってのSDGsは環境私募債や冠付き金融商品を販売することではない
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- コロナ禍において地域金融機関に求められるもの(小規模事業者・個人事業主との取引);
①ゼロゼロ融資の対象はこの層、担い手は信用金庫、信用組合、第二地銀も。危機対応は政府系の役割との認識は間違いであり、日頃の取引がある金融機関の出番だが、初動は褒められたものではなかった(一部の例外を除き)。また、最後まで面倒を見る覚悟のない金融機関がノーリスク商品のプロダクトアウトでノルマ営業(投資商品の抱き合わせまでも、金商法違反/独禁法違反?)をやっていることは問題。
②ゼロゼロを出すことそのものは資金繰りではない。事業者がお金のことを心配せずに本業に専念できるようにしてあげることこそが資金繰り支援。
③資金繰り支援はあくまでも止血に過ぎない。この間に何をやるか、事業者の相談に乗り、ウイズコロナ・ポストコロナの事業展開を一緒に考えることが重要。
④この顧客層の多くは生業。成長を見込む先ではなく、金融機関の対応は「存続支援」。経営者の年齢は高く、廃業リスクが大きい(金融機関にとっては取引基盤の喪失リスク)。
⑤「資金繰りの状況チェック(決済口座の動き、口座がなくてもTKC月次試算表などを活用)プラス相談に乗る」という地道なやり方で、金融機関にとっては一人あたりの担当先が多くても対応できる。
⑥「相談に乗り、一緒に考える」:地域における“つなぐチカラ”、地元の事業者の中には「地域の知見」がある。これを結集し、お客様に還元すること。そのためには「聞く力」「好奇心」「スピード感」(提案力や課題解決力ではない)。集まった知見を活用する仕組みづくりがポイント
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- コロナ禍において地域金融機関に求められるもの(地域中核企業、中堅企業との取引);
①制度融資だけでは対応できない。
②資本性劣後ローンというがプロダクアウトの商品ではない。DDSと同等。経営改善・事業再生支援の力量が問われる。そういう業務の実績もなく(取り立て回収オンリー)、そういう人材を大事にしていない金融機関にとっては至難の技。
③コンサル部署の創設、コンサル会社の設立で一丁上がりではない。
④金融機関はプロデューサー。信用保証協会、中小企業支援団体、士業を巻き込んだ総力戦ができるかどうか。
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- 地域金融機関の経営者の覚悟が問われる;
①個社ごとにヒアリングを行い、最悪のシナリオを策定。それを隠すことなく現場にも伝えることで健全な危機感を醸成する。
②信用リスクの閾値を突破の可能性ある。赤字決算、引当・債権カットでどれだけ資本を毀損するかの覚悟。自己資本はどこまで耐えられるか。
③上記は地元中核企業・中堅企業とともに次の一手を考えるための時間稼ぎ。その間に関係者の「総力戦」で次の一手を練り上げる。
④現場への指示は「与信費用のコントロール」のための行動(資金繰り支援と事業支援)、今は「ボリューム、金利、手数料」のような平時の収益目標を課する状況ではない。