このブログでは、安直な地域金融機関の再編論に牽制球を投げ続けています。
再編(合併、持株会社による経営統合)、すなわち「資本統合」は最後の手段であり、それ以前にやるべきことはたくさんあり、優先すべきは踏み込んだ業務提携や連携であると、壊れたレコードのように繰り返し繰り返し発信しています。
最近は資本統合に否定的な論調に勢いがあるせいか、資本再編ではなく機能の再編というふうに、再編という言葉が変異してきていますが、基本的に他の金融機関と資本を一緒にすることは、資本に懸念のある場合以外はあり得ないと思っています。
このことを体系的に説明したのはこちらです。
さて、
本日夕刻に発表された沖縄県の2つの地銀、琉球銀行と沖縄銀行との包括業務提携は、非競争部分を切り出し共同化するという理にかなったものと評価できます。
非競争部分の共同化、他業態では当たり前のことであり、今後はこの手の提携は地域金融機関の中でも加速度的に進むと考えます。
繰り返しますが、資本再編(合併、経営統合)ではなく、こちらが先です。
資本再編は資本に懸念が出た時に現実味を帯びるわけで、今ではありません。
今はコロナ対応に全力投球すべきで、合併や経営統合にコストも労力もかけている場合ではないのです。
コメント
かつてのメガバンクよろしく「10年かけて組織文化を融合を目指します!」とか言ってる場合でしょうか。それこそ「お花畑」です。地域、お客のためになる良き機能であれば、どこの誰とでも組むべきではないかと思います。
沖縄の2行は因縁の間柄でした。両頭取が共同記者会見を行うなど、ありえないことだったのです。それが現実となりました。
「再編」という言葉にとらわれすぎて、思考が停止しています。セブン銀行のATMに始まり、フィンテックの興隆は、銀行から機能を引きはがすアンバンドリングという流れです。様々な機能を抱え込んできたこれまでの「銀行」というentityが限界を来していている訳です。非金融と呼ばれる動きもこの流れの一環です。
「地銀+地銀=希望の地銀」という昭和のフレームワークがもはや通用しないということに気づくべきかと。